私は、いふくんの告白をキッパリと断った。
別に付き合ったってよかった。
ないくんのいない寂しさを、甘えたい気持ちを、
いふくんに受けて止めてもらうことだってできた。
けど私は、確実に私の求めている幸せとは違う方向への
選択肢を選んだ。
なんでだろうなぁ。
私は、ないくん以外の彼氏を、作りたいなんて
思わなかった。
気づいたらドアに持たれてそんなことを聞いていた。
ボーッとしていたらもう夕方だった。
学校は終わったはず。
だからないくんも、きっと……
顔を見なくても声だけで安心する。
思わず力が抜ける。
私だって、本当は学校に行きたいよ。
みんなと普通に授業を受けて、ないくんとも普通に
一緒に帰ったりして。
でも……
ダメなんだ。
またきっと学校に行ったらいじめられて、
いふくんや悠佑くんに迷惑をかける。
いふくんと出会うといふくんにあの日のことを
思い出させてしまって、きっと辛い思いを
させてしまうだろうから。
学校に私の居場所は、もうないんだ。
そうすれば、普通にいふくんと会うことも
気まずくないし、普通の学校生活を私も送れたのかも。
どうしよう、こんなことないくんに言っても
仕方のないことなのに。
バッと勢いよく立つ音が扉越しでも聞こえた。
きっとないくんもドアに背を向けて座ってたんだろう。
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。