最近森に入った調査員が行方不明になることが多発していて、それを解決しろと神からのお達しが来た。上層部の人達も行方不明の事件について目をつけていたから、丁度いいと言わんばかりにその事件の真相の任務をこちらに押し付けてきた。さすがに僕一人ではどうしようもなかったため、同期の晴くんと景くんに手伝ってもらうようにお願いした。
「ごめんね2人とも、部下に頼んでまた行方不明になってもダメだから2人に頼むことにしちゃって」
「全然いいよ!藤士郎に頼られるの嬉しいし」
「俺も!それに藤士郎まで行方不明になったら嫌だし」
「ありがとう2人とも笑」
「ん?ねぇ2人ともあそこになんかない?」
「どれ?」
「暗くてよく見えねぇ、もうちょい近づこうぜ」
そう景くんは言い早歩きで先に見に行く。それに僕と晴くんも急いで向かう。到着し見えたものは何かを封じていたような痕跡があり、注連縄が木に六角形に吊るされており、その真ん中には賽銭箱が置いてあった。
「なにこれ、初めて見た」
「結界が張られてる気配は無いね、解かれたのかな」
「人が行方不明になってる原因これかもじゃね?誰かが封印していた何かを解き放ったって感じだろ」
「うん僕もそう思う、一旦戻ってこれの正体を突き止めよ」
「そうだね、一応写真も撮っておこ」
「この場所結構深い場所にあったな、それに周り暗いし」
「人が来ないようにここに封印してたんだろうね、周りに変な気配ないしこの森から抜け出すなら今だね」
「写真撮り終わったから早く出よ」
なぜこんな森の奥深くにこのようなものがあり、だれがここに"何か"を封印したのだろうか。謎が多いが今は森を抜け出すことに専念する。周りがもっと暗くなる前に足早に森を抜け出す。
「うーん、あそこに関しての情報が全く見当たんないや」
「あ"ー!糖分が足りねぇー!」
「長尾あんまおっきい声出さないで、頭に響く、、、」
ここ三日かけて寝る間も惜しんで、情報を探し続けているが全く見当たらない。時々森に入って調査もするが、そこでもなんの成果も得られなかった。めちゃくちゃ行き詰まっていた。
「誰かこの手のことで詳しい人いないかな?」
「さすがに居ないんじゃね?相手魔かもしんねぇし」
「そうだよねぇ、、、」
「、、、あ!」
「うおっ!甲斐田びっくりするから急に大声出すなよ」
「ご、ごめんって」
「それで晴くん、なにか心当たりでもあった?」
「確証は無いけど、、、もしかしたら"あの人"なら知ってるかも」
「「あの人?」」
あの人とはいったい誰のことを指しているのだろうか、見当もついてない僕に晴くんが「前撮った写真僕に送って」と言ってきたため、画像を晴くんに送った。すると晴くんがその画像を誰かに送り連絡していた。すると突然晴くんのスマホから電話音がなり、晴くんがビデを通話にして電話を繋げた。
『もしもし』
「電話出てくれてありがとうございます!"もちさん!"」
「もちさん、、、えッ剣持さん!?」
「うおー!もちさんだ!」
『はい剣持刀也ですよ』
なんと晴くんは先輩である剣持さんに連絡をしていた、桜魔の問題に先輩に首を突っ込ませて良かったのだろうかとめちゃくちゃヒヤヒヤした。
『甲斐田くんに送ってもらった写真と場所と行方不明者のことについて教えてもらい大体見当は着きました』
「さっすがもちさん!」
「もちさんすげぇ!」
「なんでわかったんですか?」
『あれは" 姦姦蛇螺"というものを封印する際に使われるものだからです』
「「「姦姦蛇螺?」」」
初めて聞く名前だ、僕らの知らないことを知っている剣持さんはやはりすごいなと感心した。
「もちさんその姦姦蛇螺?もおばけなんですか?」
『近い存在であり遠い存在でもあります』
「んー?どういうことっすか?」
『姦姦蛇螺とはですね、元巫女であり人間だったんです』
「人間だった、、、?」
『姦姦蛇螺は上半身は女性の姿をしており、下半身や背後に蛇の要素がある見た目をしています。姦姦蛇螺は元は小さな山間の神社の巫女で幼少から霊力が強く、神と人の世界を媒介する役割を持つ人だったそうです。』
「な、なんで人間じゃ無くなったんすか?」
『僕も別に凄く詳しい訳では無いですが、とある村の人たちが、その巫女に助けを求め巫女はそれに応じて直接村に向かいました。村の人達は「あの洞窟の奥に恐ろしいなにかがいる」と言い、巫女はその恐ろしい何かを退治するべく洞窟の中に向かいました。そこの洞窟の奥には巫女の数倍大きい蛇神がいることがわかりました。そこで巫女は気づいたんです。』
「何に、ですか、、、?」
『、、、自分が"生贄の代わり"だということに。』
「う、そ、、、ッ」
『巫女はその蛇神に喰われたが、巫女は強い恨みと怨念と復讐心を抱いたことにより蛇神は見る見るうちに変化し恐ろしい姿へと成り代わったんです。」
「それが、姦姦蛇螺なんですか?」
『はい、姦姦蛇螺は自分を生贄に差し出した村の人たちを食い殺したことにより危険対象と見なされ、陰陽師によって封印されました』
「なるほど、、、」
『それでもう1つその姦姦蛇螺に会えないとも聞いたんですが、』
「あっそうなんすよぉ!僕らが何回見回っても気配も姿も探知出来なかったんです」
『それは多分複数人で行っているからですね』
「複数人はダメなんすか?」
『そうですね、姦姦蛇螺の出現条件は強い恨みや怨念が集まる場所、元巫女や神事・蛇神と関係する場所、封印や依代が破壊されたとき、夜や霧の濃い道など心理的に恐怖が増す状況です、どれか1つでも当てはまっていれば確実に出会えます』
「そういえば僕たち、どれも条件揃ってない時に森の中行ってたね」
「あーだから会えなかったんだな」
「もちさんに聞いてよかったァ、、、」
『ちなみに相手は不死身に近いから直接戦って退治するには難しすぎるし、姦姦蛇螺は孤立した人物を狙う習性があり目を合わせたり触れたりすると呪いが発動するから気おつけてください』
「それ俺ら不利すぎじゃね!?」
「もちさんなにか違う倒し方ないんですか!」
「あるなら教えてください!」
『わかってるから落ち着いて、、、何個かあって怨念・情念を鎮める、封印の再構築、蛇神や依り代に返す、弱点・出現条件を断つこれぐらいかな』
「意外と色々あった、僕らでもできそうなの封印の再構築じゃない?」
「だな、他もいけると思うけど多分手こずるわ」
「そうだね、剣持さん封印の再構築のやり方を教えてください」
『わかりました、写真を見た限り同じ封印方法ではまた封印を解かれるかもなので少しだけ違う封印の仕方にしましょう』
「わかりました、何をすればいいですか」
『まず 注連縄や御札を新しくしもっと強力なものにして結界を張り、外部から侵入できないようにしてください』
「わかりました!」
『姦姦蛇螺を封印する時は、賽銭箱の中にあるマッチ棒を動かして封印の印を作ります。作り方は画像を送るので確認しといてください』
「了解です!」
『、、、今更ではあるんですけど、もしできるのなら僕が手伝いたいところではあります』
「剣持さんは桜魔のことに関係ないのでさすがに巻き込む訳にはいきませんよ!」
「そうっすよ!俺らで何とかしてみせます!」
「もちさんに頼りっぱなしなんてダメです!それに僕ら強いので大丈夫です!」
『、、、わかりましたそこまで言うのなら信じます、でも分からないことがあればまた聞いてください』
「はい、わかりました」
『無事を祈っておきます』
そう言い終え、剣持さんは通話をきった。剣持さんが姦姦蛇螺のことを知っていて良かったと、安心しほっと息を吐いた。
「じゃあこれから作戦会議しよ」
「だな、お札誰の使うよ?」
「んー藤士郎の札の方がいいんじゃない?神様の力が1番強いし、結界は僕が張るよ」
「俺やることねぇな」
「景くんは姦姦蛇螺の足止めお願いできる?複数人とはいえまた封印されると気づかれたら絶対襲ってくると思うし」
「よっしゃ任せろ!」
「今日はもう明日に備えて準備して寝よ、寝不足のままやり合っても勝ち目ないと思うし」
「その方がいいね、じゃあ夕方よりちょっと遅めの時間にまた集合しよ」
「おっけ〜」
「(甲斐田くん達は大丈夫だと言っていたが、少し心配になる)」
「、、、ダメだとわかっている、けど、、、ッボソッ」
「ごめんなさい、、、"2人とも"」
そう言い剣持刀也はとある人物に電話をかける
「2人とも準備はいい?」
「僕は大丈夫だよ」「俺もー!」
「、、、あの、さ2人とも」
「ん?どうしたの藤士郎」
「何かあったんか?」
「、、、少し、作戦を変えたくて_____」
森の中に入り祠の前に到着した。すると突然目の前から、上半身は女性の形をしていて下半身や背後に蛇や螺旋状の体の一部を持っており、手足や関節が長くねじれていて骨ばった不自然な形状になっている。
「あれが姦姦蛇螺、、、」
"ゅルサなイ、ユるサナイ、、、"
「ッ、、、(失敗は、許されない)」
数十分前
「、、、少し、作戦を変えたくて封印じゃなくてできることなら、成仏、、、させてあげたいんだ」
「え、?」
「どうしてだ?」
「姦姦蛇螺は元巫女で人間、僕は官吏で役職も生きていた世界も違うけど、、、けど、神様と人の世界を媒介する役割を持つっていう立場は同じ」
「藤士郎、、、」
「僕は連絡役だから媒介ってほどでは無いけど、けどほぼ同じ共通点を持ってる、、、だからかは分からないけど、このまま封印してもダメだと思ったの」
「、、、」
「お願い、僕に時間をちょうだい!」
「(せっかくくれた時間を、無駄にはしない)」
"ゆルサなゐ、ュるサナぃ、、、"
「僕はあなたを救いたい、あなたを成仏させたい、、、その恨みも怨念も忘れることはできないと思う」
「けど僕はあなたの味方でいたい!誰かがあなたをまた裏切るなら僕はあなたを絶対に裏切らない!誰かがあなたを傷つけるなら僕があなたの代わりに傷つく!」
「僕はあなたに幸せになって欲しい!都合がいいって思ってくれて構わない、それでも僕はあなたを救う」
"、、、ァッ"
「あなたの声を聞かせて?」
"、、、たス、けテボソッ"
「もちろんニコ」
僕はそっと彼女を怖がらせないよう、ゆっくり近づき安らぎの呪文を唱える。彼女が今どんな顔をしているのか、僕には分からないが。どうか、どうか安らかに眠って欲しい。そして幸せになって欲しい。唱え終えると彼女は消えかけていた、どうやら成仏をしてくれるらしい。
"アり、ガとぅ、、、"
「!、、、」
お礼を言い、彼女は成仏した。その時の彼女の姿は、人間だった頃の姿だったのだろうか。美しく綺麗で、とても素敵な笑顔を浮かべていた。
「、、、」
「藤士郎、おつかれさん」
「お疲れ様、藤士郎、、、影で見守ってはいたけど、体は大丈夫?」
「うん、平気だよどこも悪いところないよ」
「ならよかったぁ、」
「でも僕らにはあともう一つやることがある」
「なにかあったっけ?」
「だれが彼女の封印を解いたか、だよ」
「!そっか、たしかに封印は術者が解くか誰かが解く以外では封印が解かれることはないしな」
「そう、だから元凶を見つけて締め上げるよ」
「怖、、、」
「もうひと頑張りするか〜!」
「2人とも気合い入れてよ!」
「わかってるよぉ!」
「任せろ!」
あの出来事から数日後、犯人は見つかり無事解決した。どうやら彼女を解き放ち操って無差別に呪い殺そうとしたが、上手くいかずそのまま放置したとのことだ。それを聞いた瞬間、僕は怒りが湧き出てその元凶を殴り飛ばそうとしたが、晴くんや景くんに止められてできずに終わった。
「今度剣持さんにお礼の品持っていかないとね」
「そうだな!もちさん何好きかな〜?」
「やっぱ甘いものとかでしょ!」
「プリンとかドーナツとか?」
「そうそう!」
「俺あまおうのいちご渡す!」
「長尾いちごばっかだな」
「クスッまぁいいんじゃない?僕はプリンにしようかな、晴くんは?」
「桜魔でしか売られてないお菓子とか飲み物にする!」
「んじゃ買いに行こうぜ!」
「今からぁ?」
「景くん早過ぎない?」
「息抜きがてらに行こうぜ!」
「まぁ僕はいいけどさ?」
「んーじゃあ僕も行こうかな?」
「決まり!早く行こー!」
「ちょっ、引っ張りすぎ!」
「んはは!笑」
「手出しは無用だったようですね、そもそも手を出すつもりもなかったのですが、、、"あの子"の悲しい顔をまた見る羽目になるのは御免こうむりたいですね」
綺麗な純白の翼を広げながら、1人ボソッっと呟く。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。