大学の授業の後は疲労感がいつもより溜まる…
でも、帰ったら治が待っている、それだけでやる気が上がるんだから、不思議だ
彼と出会ってからは色々なことがあった
大切な人が増えたり、お兄ちゃんの正体が分かったり、命の危機に晒されたり…
でも、今となってはあまり気にしていない
___________治が居るから、気にしていない
家の最寄り駅から歩きながら、私はボソッと呟く
そう、今日はバレンタイン
年に一度の、「大好きな人にチョコレートを渡す日」だ
治の反応が楽しみで、私は少しワクワクしていた
玄関の扉を開き、中に足を踏み入れた
治との同棲は不思議なことに、思っていたよりも緊張しなかった
嫌なことといえば、一つだけある…
治の口の周りに何かが付いていた
治は呑気な笑顔で言う
折角作ったチョコレートだったのに、ちゃんと渡すことが出来なくてがっかりした
ようやく気付いたようで、少々腹が立った
治は誘うように尋ねてきた
治は優しく腕を広げる
やはりチョコを勝手に食べられたことは許せなかったが、彼の誘惑にはいつも勝てない
仕方なく、私は治の腕の中に入る
そう言いながら、彼は頭を撫でてくれる
こんなの、まるで子供みたいじゃないか…
そう思いつつも、私はそれとは反対に治の胸の中に顔を埋める
治の手が、ゆっくりと私の服の中に侵入して来る
朝の暖かな日差しが、窓の奥から差し込んで来る
目が覚めたのでベッドから起き上がろうとすると、強く抱きしめられている感覚がし、抜け出せなかった
抱きしめていたのは治で、みるとついつい昨晩のことを思い出してしまい、茶化されたくないので恥ずかしさを表情に出さないように必死に抑える
どこか少し寝ぼけていた治の声は、何故だか少し可愛いと感じた
こんな彼の一面は、新鮮な感じがする…
私は静かに囁いた
もう、チョコレートのことなど殆ど忘れてしまっていた
治と過ごした時間は、チョコレートなんかよりもずっと甘かったから…













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。