【ダンス部練習中】
《乃愛side》
【帰り道】
最近、大樹が遠い存在になった気がする。
中学の頃は
私のほうがダンスが上手で
大樹はよく先生に怒られていた。
それが今では逆。
もちろん、大樹が努力してきたのはすごく知ってる。
でもダンスに熱心になっている大樹を見て
少し不安になった。
私は置いてきぼりにされるんじゃないかって。
『幼馴染み』という存在の大樹を
失いたくなかった。
ダンスなんて、私には向いてないのかな。
ダンスなんてしなければ、大樹は私だけを必要としてくれたかな?
信号が青に変わった。
下を向いて歩いていると
プップーという音が
耳のなかをかき鳴らした。
気づいたら私は倒れていた。
周りに人がたくさんいるのが、かすかに見える。
『幼馴染み』という存在のあなたに
そんなことを願うなんてバカだった。
いつからだろう。
私だけを必要としてほしい。
そう思ったのは。
ワガママだよね。
でもそんなの分かってるよ。
とっくに、気付いてるよ。
そして私はゆっくりと目を閉じた。
何もかも、終わればいいと思いながら_。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。