入店したのは不思議な雰囲気の男の人だった
身長高!ずっと真顔で怖い!!でもイケメン!!!
その人は檻にいる人間をまじまじと見ていた
こんな人でも人間を買おうとしているのか…
いや、こんな人だから…か?
ほんと、その人が近付けば近付く度に不思議な感覚が増していく
絶対、普通の人じゃない…
そう思いながらも見ていると、急に目が合ってしまった
やば、見すぎた
彼は少し考えたようにこちらに近付く
私の名前を聞くと彼は優しい声でいい名前だねと言ってくれた
…まぁ、真顔だったんだけど
そういう彼に悪意は全くないように感じた
外国人にとって日本人は随分と幼く見えるらしいし、そのせいだろうか
それでもやっぱり気分のいいものではない
少し不服そうな言い方になってしまい、私の言葉を聞いた彼は申し訳なさそうに謝ってきた
そうです、そういう前に店員がこちらに来て意気揚々と私の説明を始めた
そう呟いたあと、まじまじと私を見ると彼は面白いと言った
面白いって…こっちは困ってるんですけど…
彼の言葉で、私の困惑を無視して淡々と事が進み、私は買われてしまった
ありがとうございましたと言って彼を見送る店員
今までそんな事してなかっただろ
まるで厄介払いされてしまったようで少し悲しくなる
車に乗ると、彼はずっとあそこで疲れただろうから家まで寝ていなさいと言った
寝れるわけないだろうと思ったが、なんだか頭がボーッとしていつの間にか眠りについていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!