第9話

9話
9
2023/11/14 11:27
グクは、奈々が泣いていたのは自分に原因があると

感じていた。

そのことで私に心配をかけまいと

「キミとは関係ない」

と線を引くが、私はそんなグクの態度に壁を感じて

しまう。

一方、母は、グクが高校時代の友達と関わりを持つ

ようになったことに不安を感じていた。

そんな母の態度に萌は苛立ちを抑えきれない。

グクに借りていた本を返しに行った奈々は、振らな

くていいと告げ、ずっと友だちでいようと言って去

った。

グクが声で話さないことに疑問を感じた私は、質問

してみることに。

すると、

「自分の声が好きだったから」

と言われてしまい、気持ちがすれ違ってしまった。

家に帰り、友人の真子と飲みながら、グクとのこと

を話す私。

すると、真子の携帯にテヒョンから電話が入った。

真子から電話を代わってもらった私は、再会したグ

クと声で話したことがあるかとテヒョンに聞いた。

名前を呼ばれたことがあると答えたテヒョンは、

「グクは、奈々さんには声を出さずに済むから、心

を開けるのではないか」

と言う。

黙ってしまった私に謝るテヒョンは、顔を見て話せ

ば大丈夫だと言うが…。

私は、グクから奈々の連絡先を教えてもらい、正輝

さんに難しい会話を手話に訳してもらう。

そして、奈々に会った私は、春尾に教わった手話を

使って思いを告げる。

音信不通だった8年間、グクが元気だったかを心配し

ていたこと。

その間、奈々がグクに寄り添っていてくれたことに

感謝する。

そして、グクとはまだ手話では通じないことが多い

ことも打ち明ける。

すると、奈々はグクとたくさん話したほうが良いと

私に伝えた。

図書館に本を返しに行った奈々は、偶然、グクと会

う。

私と何を話したのかと尋ねるグクに、奈々は和やか

に話せたと答える。

そして、以前、グクに

「手話というプレゼントを使い回された気分だ」

と言ったことを奈々は謝り、使い回されたのではな

く、お裾分けした気持ち、あげて良かったと笑顔を

見せた。

奈々は、私が手話を教わる教室を訪ねる。

ビルの前で佇む紬に声をかけた春尾は驚いた。

そんな春尾に、奈々は手話で久しぶりと告げて…。

その頃、私はグクを自宅に招いていた。

ふと私の両手を握り、見つめるグク。

しゃべろうとしていると察した私は、しゃべらなく

ても好きだと声で伝える。

好きだと言ってしまったことが恥ずかしく、声だっ

たから伝わらないと重ねる私を想は優しく抱きしめ

て…。



プリ小説オーディオドラマ