本に挟んだ、赤いポピーの押し花。
さすがにいつまでも咲き続けてはくれないので、この花を失いたくなくて、押し花にしたのである。
押し花を透明なケースに挟んで、キーホルダーとして持ち歩けるようにしたので、それを鞄につける。
待ちに待った日がやってきた。
少し背伸びしたくもなるが、初めて現実の世界でおんりーに会うことを考えると、彼に見つけてもらえることの方が重要かといつもの服に手を伸ばした。
時計を見ると時間がなく、バタバタと着替えて靴を履き、玄関で深呼吸をする。
そして鏡に映った赤いポピーのキーホルダーを見て、自分の顔を見て、決意したようにそのドアを開けた。
パラパラと人が行き交う中を、駆け足で待ち合わせ場所に向かう。
すると、大きな時計の下。
見慣れた深い緑色の髪に、黒縁のメガネをかけた小柄な青年の姿があった。
初めて会うはずなのに、まるでそんな感覚はない。
懐かしささえ感じるようなその雰囲気。
ふと、彼と視線が合う。
その声が耳に入った瞬間、胸がいっぱいになった。
ずっと会いたかった。
想いが溢れて止まらなくなるのを必死に抑えて、忘れていた息を吸って深い呼吸をする。
まずは話のしやすいカフェへ、おんりーは連れて行ってくれた。
以下作者の小言
約1年越しの更新になりました、お待たせして申し訳ありません。
持病で日常生活が難しくなっていたのですが、無事復帰致しました。
どうか最後までよろしくお願い致します。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。