自分の身の丈に合った空間がどれだけ素敵だったか、今ならわかる。
ふと違う世界に飛び込んでみると、息ができなくなってしまいそうだ。
そう、人間が宇宙空間に飛び込んだように。
今の状況は、まさにそれだ。
普段家に引きこもっている社会不適合者だから、本当に人前に立ちたくないんだよね…
緊張して吐き気がしてしまう。
でもせっかくの機会なのだから、ちゃんとしなければ。
さ、流石現役大人気アイドル……
笑顔を崩さず、言葉を詰まらせることも無く喋りきった…
これが陽の世界を生きる人間と陰を生きる人間の差か。
わかってはいたけど、いざ目の当たりにするとな…
自分が惨めに思えてくる…
その後も中原さんが一人一人紹介していった。
一通り紹介が終わったら、製作の方針や今後の予定など、監督が進行を引き継いで話を進めた。
私は著者ではあるけど、あくまで著者なので、役者さんたちほどすることは多くない。
多少いつもよりバタつくだけだ。
しばらく経ってある程度話が進み終えると、再び中原さんがミーティング終了の号令をかける。
私はこの後特に予定はないので、自宅に帰って作業を進める。
今執筆している新作が丁度山場なので、せめてそこだけでも仕上げてしまいたい。
……嵐みたいな人だな。
でも驚いた。
自分のような者にもああやって話しかけてくださるんだもの。
佐久間さんは、今まで会ってきた人と何か違う。
それが何なのかはわからないけど。
この作品製作で関わっている内にわかるといいな…











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。