第4話

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2025/02/25 10:51 更新
自分の身の丈に合った空間がどれだけ素敵だったか、今ならわかる。


ふと違う世界に飛び込んでみると、息ができなくなってしまいそうだ。


そう、人間が宇宙空間に飛び込んだように。


今の状況は、まさにそれだ。




中原(編集担当)
えー、皆さんお揃いですね
中原(編集担当)
では、初顔合わせと、そのままミーティングを行いたいと思います
中原(編集担当)
今回の進行は私、中原が担当します
中原(編集担当)
ではまずは一人一人の紹介から入りましょう
中原(編集担当)
先生、いいですか?
あなた
あ、はい……
中原(編集担当)
始めに、今回製作が決定した『冬の金木犀』の著者あなたのペンネーム先生です
あなた
えっと、今回私のデビュー作の製作が決定して、とても幸いです
あなた
皆様、これからどうぞよろしくお願いいたします
中原(編集担当)
続いて、______



普段家に引きこもっている社会不適合者だから、本当に人前に立ちたくないんだよね…


緊張して吐き気がしてしまう。


でもせっかくの機会なのだから、ちゃんとしなければ。




中原(編集担当)
森川楓役、Snow Manの佐久間大介さん
佐久間大介
はい、今回森川楓役として製作に参加させていただきます、Snow Manの佐久間大介です!
佐久間大介
自分この作品大好きなので、オファーをいただけてとても嬉しいです!
佐久間大介
これから頑張って参りますので、よろしくお願いします!




さ、流石現役大人気アイドル……


笑顔を崩さず、言葉を詰まらせることも無く喋りきった…


これが陽の世界を生きる人間と陰を生きる人間の差か。


わかってはいたけど、いざ目の当たりにするとな…


自分が惨めに思えてくる…












その後も中原さんが一人一人紹介していった。


一通り紹介が終わったら、製作の方針や今後の予定など、監督が進行を引き継いで話を進めた。


私は著者ではあるけど、あくまで著者なので、役者さんたちほどすることは多くない。


多少いつもよりバタつくだけだ。








しばらく経ってある程度話が進み終えると、再び中原さんがミーティング終了の号令をかける。


私はこの後特に予定はないので、自宅に帰って作業を進める。


今執筆している新作が丁度山場なので、せめてそこだけでも仕上げてしまいたい。




佐久間大介
あの、あなたのペンネーム先生、今お時間宜しいですか?
あなた
あ、佐久間、さん…
あなた
大丈夫です、もう帰ろうと思っていたので…
佐久間大介
そうですか、よかった
佐久間大介
僕、さっきも言ったんですけど、あなたのペンネーム先生の『冬の金木犀』大好きなんです!
あなた
嬉しいです、ありがとうございます
佐久間大介
僕あまり小説は読まないんですけど、この作品は本当に好きで、いろんな人に布教させていただいてます!笑
あなた
そんな大それた物では無いですよ…笑
佐久間大介
いえいえ!もっと自信持ってください!
佐久間大介
『冬の金木犀』は傑作ですよ!!
あなた
佐久間大介
あなたのペンネーム先生?
あなた
あ、すみません…
あなた
そこまで熱意を持って語ってくださる方は初めてで……
佐久間大介
そうなんですか?
佐久間大介
じゃあ僕が一番乗りですね!
あなた
そうですね笑
あなた
というか、お時間大丈夫ですか…?
佐久間大介
あ、やべ
佐久間大介
すみません、この後移動しないといけなくて…
佐久間大介
今日はこれで失礼しますね!
佐久間大介
ではまた!
あなた
はい、また






……嵐みたいな人だな。


でも驚いた。


自分のような者にもああやって話しかけてくださるんだもの。


佐久間さんは、今まで会ってきた人と何か違う。


それが何なのかはわからないけど。


この作品製作で関わっている内にわかるといいな…

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