第8話

8th story
45
2024/07/26 07:58 更新
[いのお けい]
平仮名の[い]をフリックする手が震える。
指を1秒動かすだけなのに、ドキドキが止まらない。
ようやく3文字入れると、候補には[伊野尾]の文字がずらり。
1番上の[伊野尾 慧]をタップする。
検索して出てきたウェブサイトを見て驚いた。
ジャニーズって、カッコイイ人ばかりのイメージだった。
あんな可愛い人でも、ジャニーズになれるんだ。
公式サイトから、生年月日・出身地・血液型の情報を手に入れる。
そこでやっと我に返った。

何をときめいているんだ、私。
まだ宿題の途中だというのに。

一旦冷静になってしまえば、後は速い。
スマホの画面を消して、いつもの3倍巻きで
残り半分あるノートの空白を埋めた。
朝。
スマホのアラームで目が覚めると、一件の通知が来ていた
一昨日、数学でわからなかったところを学習アプリの質問箱に投稿した回答だった。
送ってきてくれたのは、アプリの公式クリエイターでもある人。
「学校の先生よりわかりやすい」って人気なんだけど、数学教師ってわけじゃないらしい。
解説を短くまとめて、授業ノートの隅にメモしたところでアプリを閉じた。
そのままスマホの画面を下から上にスワイプして、アプリの履歴を消そうとした時。
英語の勉強中に使った検索アプリ。
そういえばそのままにしていたが、なぜあの時履歴を消さなかったのだろう。
確かに、時間をロスしてしまったと焦ってはいた。でもそれだけだろうか。
脳裏に、昨日佳奈に言われたことが思い浮かぶ。
結城 佳奈
結城 佳奈
その間が気になるなぁ…?
絶対なんかあったでしょ!
確かに、本当は手応えがあったのかもしれない。
そして、それは決して一時的なものではない。
その証拠に、鏡を見なくてもわかるくらい、私の顔は赤かった。

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