第70話

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2024/06/24 08:00






ふと、魔人に言われた言葉を思い出した。



 
フョードル・ドストエフスキー
貴女は大切なものとそうでないものに
線を引き、そうでないものを
簡単に切り捨てる。
フョードル・ドストエフスキー
それが、貴女の本性でしょう?
 

確かに、“誰かのために動くこと”は
“大切なこと”なのだろう。

だけど、やっぱり私にはそういうものだ・・・・・・・という
ことしかわからなくて、少し胸が苦しい。




きっと私はこの先もずっと
こんな私から変わることは出来ないのだろう。








私は“光の世界”に向いてない。



コナンくんが身の危険を承知して暗殺を阻止したことが“眩しい”と感じてしまうほどに私は狂っている。




青い光は眩しすぎて、“怖い”と感じてしまう。











ドンッ!!ドンッ!!と“扉をノックする”
というよりかは扉を破りそうな音が聞こえている。


ウォッカ
おい!人が居るのは判ってんだ!
ウォッカ
開けろ!


怒鳴るような口調で脅しては扉を叩き、
扉を叩いては怒鳴ってを繰り返している。



大きな音が頭に響いて少し頭が痛い。






今は鍵をかけているけれど、
開けられてしまうのも時間の問題だろう。



江戸川コナン
…っ、くそっ逃げ道が…!

出入口の扉はひとつ。

だけど、それは塞がれてしまっている。


なにも知らない無垢なふりをして「こんにちは!」
とかいって見逃してもらえるわけもない。





となると、残された手段はひとつしかない。






あなた
コナンくん、手を貸して。
江戸川コナン
…え?…ってわっ!


私はコナンくんの手を強く握り、

そのまま勢いをつけて窓から飛び出した。


江戸川コナン
ちょ!まっまってまって!!
あなた
暴れると本当に落ちるよ



私は躊躇いなくそう告げ、
意識を空気中の酸素へ向けた。

雨粒が降っているせいで少し扱い辛い。

あなた
異能力『分合ぶんごうの子』


異能で空気中の酸素の結晶を作り出し、足場にする。


江戸川コナン
…!凄い…!

あなた
気付かれる前に行くわよ。


雨の日は酸素が薄いため、
然程強度のある足場は作れない。


そのため、私はビルに沿うように足場を作り、
強度の底上げを行った。





その時、パリーン!と足場の一部が割れる音と共に
シュッ!と私の顔の横辺りを何かが突き抜けた。


水の矢だ。恐らく、『水を操る異能力者』が
私たちに気がついて攻撃を始めたのだろう。
あなた
不味い…

此処は遮るものが一切ないため、
相手にとって非常に狙いやすいのだろう。

早く敵の死角へ行かないと…!


あなた
走るよ、コナンくん
江戸川コナン
うん、判った。


いくつもの水の矢が斜め下の方角から
飛んでくるのを避けながら進む。

ビルの角を曲がれば安全だろう。
江戸川コナン
あともう少し…!


その時、シュッ!と水の矢が
方向を変えて・・・・・・私の頬を掠めた。
あなた
…っ、









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なんとか無事敵の死角へたどり着いた頃には
私たちはかなりへとへとになっていた。

江戸川コナン
はぁ、はぁ、…あなたちゃん大丈夫?
あなた
……え、えぇ。
江戸川コナン
あなたちゃん、怪我してない?
あなた
掠り傷程度よ。平気。



…こんな悠長なこと言っている場合じゃない。





まだあの演説者が狙われる可能性はある。

早く、対策を考えなければならない……




江戸川コナン
あなたちゃん?……大丈夫、
江戸川コナン
…あなたちゃん!


おかしい。耳に膜がかかっているみたいに
コナンくんの声が遠退いて聞こえる。



立ち上がろうとしても平衡感覚を掴めなくて、
そのまま倒れてしまった。

江戸川コナン
あなたちゃん!…あなた!!
あなた
……




どうしよう。意識が遠退いていく。
まだ敵が、近くに…居るかもしれないのに……。




そんなことを他人事のように考えながら
私はいつの間にか意識が途絶えてしまった。

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