それはまだ、アンダインの幼き頃の物語…
モンスターAが、後ろにひっくり返った。
わたしとモンスターAとの勝負を見ていたクラスメイトの子達が、一斉にわっと集まって来た。
モンスターB『どうやったら強くなれるの?』
モンスターC『魔法の槍ってどうやって出すの?』
モンスターD『誰から教わったの?』
モンスターE『筋肉ってどうやったらつくの?』
モンスターF『誰と戦ったの?』
クラスメイトのみんなはわーっと拍手をしてくれた。
子供の頃から喧嘩に強かった私は、いろんな人との勝負を求めた。いじめっ子のクラスメイトにも、口うるさい先生にも、白いちょこまかと動く犬にも、私は負ける気がしなかった。
そして、今思えばすごくバカなことをしたと思う。
警戒なしに、私は宣言通りずかずかとアズゴアの城の中に侵入した。
謁見室の玉座に、アズゴアと、ガーソンじいさんを見つけた。
アズゴアが一瞬ぴくりと眉を動かし、しばらく考え込んだあと、玉座をどかし始めた。
私はアズゴアに向かって戦った。
…時間も、自分の体力さえも忘れて。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。