第52話

特別に気づいて【天城一彩】/ リクエスト
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2026/02/14 10:00 更新






桜河 こはく
チョコレート、おおきに ♪
桜河 こはく
アイドルみんなに配っとるんやろ?あなたはんも大変やな






アイドルたちにチョコを渡すべく、ES中を歩き回り
これで10人目。








あなた
ううん、私が好きでやってることだから全然!
あなた
桜河くんとか椎名くんみたいに喜んでもらえたら、それだけで満足だよ!
椎名 ニキ
もし余ったら僕がもらってもいいっすか?
あなた
もちろん!いくつか余分に持ってきてるし、帰りに渡すね




業者並みに詰め込まれた、全く同じチョコレートの包装たち。


量産するのに時間はかかったけど、
やっぱりみんなの笑顔を見ると用意して良かったと思える。






桜河 こはく
一彩はんにはまだ渡せてないんやね
あなた
!ななななんでそう思ったの…!?
桜河 こはく
?だってそのハート型のチョコレート、一彩はんに渡すつもりやろ?
桜河 こはく
見た感じハート型はそれだけやし、本命チョコっち言うやつか… ♪





そ、そうだけど…なんでバレてる!?


だって、チョコの形が違うだけ。
特別に過剰なデコレーションは施してない。

それを数多くある義理チョコの中から見つけるって…。








あなた
桜河くん、四つ葉のクローバーとか見つけるの上手そうだね…?
桜河 こはく
別にそうでもないで
椎名 ニキ
へぇ〜、あなたちゃんの本命って燐音くんの弟さんだったんすね!
椎名 ニキ
僕、弟さんと同室なんで渡しときましょうか?
桜河 こはく
本命チョコがニキはん伝で良いわけないやろ




キリッと桜河くんが椎名くんを睨むと、
椎名くんは弱々しく「なはは〜…」と笑った。






桜河 こはく
ラブはんが、この時間に ALKALOID でレッスンするっち言ってたわ
桜河 こはく
多分、一彩はんもそこにいるんやない?
あなた
なるほど!ありがとう、桜河くん!!







何としてでも、今日一彩くんに渡さなきゃ。


それなら早め早めがいいに決まってる!




桜河くんからの情報を元に、私はレッスン室の方へと急いで向かった。





















ノックは三回。レッスン室のドアノブに手をかける。



この部屋には一彩くんがいて、

一彩くんに会ってしまえば、チョコを渡すしかないわけで。



それは即ち、告白を意味するもので…!!




いや、一彩くんのことだし、本命って気づかないかも。
でも、それならそれでいい。

義理だと思われても、受け取ってくれるなら…





手が汗ばんで、やけに滑るドアノブを握り留め

いつもより重く感じるドアを押した。











あなた
し、失礼しま〜す…
風早 巽
おや、あなたさん
どうかされましたか?
あなた
うん、レッスン中にごめんね…今日、バレンタインでしょ?
あなた
みんなにチョコレートを渡したくて
白鳥 藍良
チョコレート!いいのォ!?
天城 一彩
レッスンの後の糖分は大事だからね!ありがたいよ!
礼瀬 マヨイ
そ、その…あなたさんの言う “みんな” には私も入っているのでしょうか…?
あなた
もちろんだよ!四人分、ちゃんとあるから受け取ってほしいな!




左からマヨイくんの分、一彩くんの分、藍良くんの分、巽くんの分

と渡していく。



なるべく態度は変わらないように、平然を装ったし。

一彩くんにだけしれっと本命を渡したこと
気づかれてないよね…?








礼瀬 マヨイ
ありがとうございますううう……恐れ多いですが、大切に食べますね… ♪
風早 巽
えぇ、わざわざ俺たちにも用意してくださってありがとうございます ♪
白鳥 藍良
すっごくラブいから、食べる前に写真撮っちゃお〜っと!





各々が嬉しそうにチョコレートを見つめてくれる中。












あなた
( ……あれ?)







ただ一人、一彩くんだけが不思議そうにチョコレートを見つめていた。


見た目、変だったかな?とか
チョコレートは好きじゃなかったのかな?とか

マイナスな方へと思考はぐるぐる回る。









あなた
一彩くん、チョコレート苦手だった…?
天城 一彩
ううん、チョコレートは好きだよ
天城 一彩
ただ……
あなた
ただ…?




少しだけ言葉を躊躇うものの、言いにくそうにする様子はなく

首を傾げると、あどけない眼差しで覗き込んでくる。








天城 一彩
あなたさん、これは藍良に予定の渡すものではないのかな?
白鳥 藍良
?おれ?





名前を呼ばれた藍良くんが反応する。


もしかして渡し間違えた…?なんて思って見ても
一彩くんが持ってるのはハート型のチョコ。

本命チョコだ、何も間違えていない。








あなた
えっと、なんでそう思うの…?
天城 一彩
それは、このチョコレートだけハート型だからだよ!
天城 一彩
僕たち ALKALOID の中でハートは藍良の担当だからね!
天城 一彩
というわけで、このチョコレートは藍良に相応しいと思う!交換した方がいいかな?



あなた
……えっ?







うそうそうそ!?!?



思わぬ方向に誤解が進んで、開いた口が塞がらない。

一彩くんのバカ…!!!





なんて言えばいい?
もうこの誤解をとくには「本命です!」って言うしかないのかな…!?




言えないよ、そんなこと……


言えないから、チョコレートに頼れる今日を選んだのに。










白鳥 藍良
もしかして、ヒロくんだけハートのチョコもらったのォ!?
白鳥 藍良
それって、そういう…
あなた
ストップ!言わないで、藍良くん…!







もういいです、穴があったら入りたい…。




そもそも、バレンタインという文化に疎い一彩くんに

バレンタインで気持ちを伝えようとした、自分がバカでした。








白鳥 藍良
ごめんねェ…あなたさん、うちのヒロくんが
白鳥 藍良
ちゃんとおれの方で厳しく教え込んでおくから…!
あなた
あはは、いいよ、そこまでしてくれなくても






恋に疎い一彩くんを好きになった時点で
期待は禁物って、何度も自身に言い聞かせてたもん。




でも、最後にこれだけ


私の精一杯を込めて言わせてほしい。















あなた
あの、一応…!このチョコ、ちゃんと一彩くんに渡したくて作ったやつだから…
あなた
できれば、一彩くんに食べてほしいです…!!






今すぐにでも沸騰しそうなほど、顔は真っ赤。


一彩くんの返事を待つ沈黙すら、耐えられなくて
「失礼しました!レッスン頑張って!!」と。

有り余った体内の空気を、勢いで飛ばした。











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