翌日の朝。
どぬくたち4人は、子鳥のさえずりで目を覚ました。
昨晩はたっつんのことを考えすぎて寝付くのが
遅くなってしまったため、案の定睡眠不足だった。
雨風をしのげる場所は見つけたものの、
生きていく術はない。
まずは水と食料を手に入れなければ。
あの船が大破するような爆発と炎の中で、
食糧が無事とは到底思えない。
失ったものは食糧だけではない。
今まであらゆる島を訪れて手に入れた品物や、
広大な海が書き記された地図。
昔の大切な思い出の品だって、すべてあの船に
残していたのだから、当然それらも失った。
移動手段である船すらも失い、
大切な仲間も失った。
何があったのか分からない以上、
下手な行動をすることは許されない。
しかし心配だというのに何もしないなんてこと、
彼らに出来るだろうか。
心優しい12人だからこそ、
辛い時も苦しい時も一緒に乗り越えてきた。
それぞれが持つ個性や才能を認め、受け入れ、頼る。
昨日まではその生活をしていたはずなのに、
いつの間にかカラフルピーチには亀裂が入っていた。
もしこのままだったらどうしよう。
もしこの島から出られなかったらどうしよう。
もし仲間のと再会が出来なかったらどうしよう。
そんな不安が、4人を包み込んだ。
あんな言葉を口にしてしまったことを、
今では猛烈に後悔していた。
いくら動揺していたとはいえ、
言っていいことと悪いことがある。
そしてあれは、言ってはいけないことだった。
じゃぱぱを含むほかのメンバーも、
心配だったはずなのだ。
それでも残された仲間を守るため、声をかけ続けた。
強引に、引き止めた。
頭に血が上っていたどぬくたちが、
その答えにたどりつけなかっただけ。
どぬくがため息をついた。
振り返ると、
そこには膝を抱えて俯いている姿があった。
るなが小さく呟いた。
その声に弾かれたように3人は顔を上げる。
小さく震えながら目に涙をため、
仲間を失ったことと、チームが割れることへの
不安を隠せていない。
その姿を見て、3人の胸は傷んだ。
自分たちはメンバーになんて顔を
させてしまっているんだと。
こんな表情をするるなは初めて見た。
えとがそっとるなを抱きしめる。
壊れ物を扱うように、優しく。
えとの腕の中で、るなが言った。
心からの叫び。
やっぱりカラフルピーチがバラバラになるのは
嫌だと、主張している。
震えるメンバーをそのままにしておくことなんて
出来るはずがなく、3人は考える間もなく了承した。
自分たちがあの時言ってしまった言葉は、
確実に相手を傷つけるものだった。
それを謝るためにも、4人は
残りのメンバーを探すために歩き出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!