次の日、私はまた理事長室にいた。
顔を顰める私に構わず、理事長は険しい顔で言った。
……まさか、また寮にこもれとかいうの?
それは勘弁、と、いつでも逃げれるように足を少し後ろに下げる。
理事長は、大きく息を吸って口を開いた。
予想外の言葉に、一瞬思考が停止する。
トレロスの懲戒処分を取り消してもらった(強引に)とはいえ、まさか理事長の口からそんな言葉が出るなんて思わなかった。
私の困惑が伝わったのだろう。
理事長は不満気な口調で言った。
そういうことか、と納得する。
つまり、私を閉じ込めるより任務に出させたほうが安全と考えたのだろう。
理事長の話を聞き、私は2、3度頷く。
即答され、肩を落とす。
やっぱり、という部分もあるが、少なからず期待していた。
反論の言葉につまり、口を閉じる。
殺人鬼なんて言われてる私が同じ教室にいたら、みんな授業どころではないだろう。
まあ、授業を受けれなくても勉強に支障は出ない。
教科書さえ読んでおけば、大抵のことは理解できる。
目を逸らして言う理事長に、私は遠慮なく疑問をぶつける。
どっちも同じだと思うけどなぁ、と心の中で反論を漏らす。
だけど、そんなくだらないことで言い争っても意味はない。
ペコリと頭を下げて、私は理事長室を後にした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!