箱の中に入っているきらきらした小さなリング。
悠仁とリングを交互に見ながら、沈黙を続けていた。
なんで、今、なんて
ふわっと夜の風が全身を突き刺したが全く気にならない。
悠仁に真っ直ぐ見つめられ時間が止まったような気持ちになった。
頭がこんがらがって思考が止まってしまった。
けっこん、結婚。
いま、なんて言われた?
左手を掴んで薬指を撫でられて、暖かい悠仁の手に全身の寒さを思い出した。
頬の冷たい筋を風が撫でる。
泣いてないもん。
泣いてない。
悠仁がハンカチで拭ってくれたけど、止まるどころかもっと出てきてしまった。
シチュ、ああそうか。
付き合ったときはお墓の真ん前だったっけ。
今思えばお墓で告白って結構斬新だよね。
おじいさまのお墓の前でさあ。
ねえ。
だよね。
寂しいよね、私も寂しいもん。
ごめんね。
話が平行線のまま進まない。
私は悠仁のこと大好きだし、別れたくない。
だけど私はすぐどっか行っちゃうわけで、悠仁に迷惑かけっぱなしな訳で。
だから何が言いたいかと言うと、結婚に反対ってこと。
私、悠仁のことそこまで縛る権利ないよ。
悠仁が私のこと縛りたいのは分かるけど、私はもう縛られてるからさ。
結婚、できないよ。
悠仁と結婚する資格ないもん。
それじゃ悠仁が別れたくても簡単に別れられなくなるよ。
でも、この私の否定は悠仁に何回も破られてる。
ああほら。
もっとちゃんと言わないから。
だらだら付き合うから、悠仁に迷惑かけてるんじゃん。
話ながらぼやけてくる景色を眺めていたけど、悠仁はずっとこっちをみてくれていた。
握られていた左手に冷たいものが触れる。
真っ暗な中でキラキラ光ってる指輪。
リングの部分には私があげたブレスレットと同じ三つ編み模様が刻印されている。
ポケットからもうひとつの指輪を取り出した悠仁。
私のよりも大きいから、悠仁のだと思う。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。