タクヤside
スタジオのモニターに、
柔らかく笑うハルの顔が映る。
恋愛ドラマの第1話。
相手役に視線を合わせる仕草、
手の伸ばし方、間の取り方、すべてが自然で美しかった。
スタッフがざわつく。
「やっぱハル、絵になるね」
「まじで人気俳優だな」
拍手と歓声の中、ハルは照れくさそうに頭を下げた。
その隣で、タクヤは静かにモニターを見つめていた。
笑っているようで、
その瞳の奥には小さな違和感が浮かんでいる。
「……ファンがちょっと心配だな。」
そう呟いた声が、他の笑いにかき消される。
1話の放送が終わる頃、ハルに対するSNSの通知音が止まらなかった。
“キスシーンやばい♡”
“ギャップに惚れた“
コメントの波がスクリーンのように押し寄せる。
「なんか、すごいですね……自分じゃないみたいです」
ハルはスマホを見ながら笑う。
「それだけ届いてるってことだろ」
けれどハルの笑顔はどこか遠い。
“届く”という言葉の重さが、胸の奥で鈍く響く。
帰りの車内。
窓の外の街明かりが流れていく。
「……“届く”って、ちょっと怖い言葉ですね」
そうハルが呟いた。
「どういう意味?」
ハル「だって、誰に届くのか、選べないじゃないですか。」
タクヤはしばらく黙っていた。
そして短く、「……そうだな」とだけ答えた。
過去の俺も、ドラマ出演から超特急のファンになってくれた方が多く、普通の俳優とは違い、女性との共演シーンはやはり気をつけるようにしている。
経験上、かなりファンの中でも2極化したコメントが届く。
こいつ、この経験初めてだもんな。
外の夜景が、ハルの瞳に揺れていた。
その光は確かに美しくて、
同時に、どこか冷たかった。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!