第68話

💚🧡 タクヤ ハル 事件
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2026/03/01 04:27 更新
タクヤside


スタジオのモニターに、
柔らかく笑うハルの顔が映る。

恋愛ドラマの第1話。
相手役に視線を合わせる仕草、
手の伸ばし方、間の取り方、すべてが自然で美しかった。

スタッフがざわつく。
「やっぱハル、絵になるね」
「まじで人気俳優だな」
拍手と歓声の中、ハルは照れくさそうに頭を下げた。



その隣で、タクヤは静かにモニターを見つめていた。
笑っているようで、
その瞳の奥には小さな違和感が浮かんでいる。



「……ファンがちょっと心配だな。」
そう呟いた声が、他の笑いにかき消される。


1話の放送が終わる頃、ハルに対するSNSの通知音が止まらなかった。


“キスシーンやばい♡”

“ギャップに惚れた“


コメントの波がスクリーンのように押し寄せる。




「なんか、すごいですね……自分じゃないみたいです」
ハルはスマホを見ながら笑う。



「それだけ届いてるってことだろ」



けれどハルの笑顔はどこか遠い。
“届く”という言葉の重さが、胸の奥で鈍く響く。

 

帰りの車内。
窓の外の街明かりが流れていく。


「……“届く”って、ちょっと怖い言葉ですね」
そうハルが呟いた。


「どういう意味?」

ハル「だって、誰に届くのか、選べないじゃないですか。」



タクヤはしばらく黙っていた。
そして短く、「……そうだな」とだけ答えた。



過去の俺も、ドラマ出演から超特急のファンになってくれた方が多く、普通の俳優とは違い、女性との共演シーンはやはり気をつけるようにしている。


経験上、かなりファンの中でも2極化したコメントが届く。
こいつ、この経験初めてだもんな。




外の夜景が、ハルの瞳に揺れていた。
その光は確かに美しくて、
同時に、どこか冷たかった。

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