まさか最初にイカ焼きを食べたいと言うのは予想外だったので早速予定が狂い始めている。
でも、まぁまぁ!まだ全然予定は直していける
臨機応変に対応していかないとね。
とりあえず長谷部さんにそう問いかけてみた。
イカ焼き食べたばかりだし、何かアクティビティ的なものができればいいよね
確か、3年B組のところだ。
噂程度にしか聞いてはいないが、かなり怖いらしい。
出店とは思えないほどクオリティーが高いのだとか、
くにおからもさっきLINEがきたけれど「やばいです!!色んな意味で!!」ときていた。
だけど…恥ずかしいことに、僕はお化け屋敷は好きではない。
いや、好き嫌いの問題ではなく、苦手と言った方が正しい。
暗闇を突き進んで行く途中、突如何かが出没したり大きな音がしたり…
リードする、そう言ったものの足がすくんで動けなくなる可能性はありえる、
でも長谷部さんがせっかく行きたいって言ってくれたからなぁ…
うーん…どうしてだろう、言動には出してないつもりなのになぁ
どうしても見抜かれてしまう
まるで調べ尽くされてるかのように、
だけどそれを掻き消すように長谷部さんを手招きして3年B組へ向かった。
相変わらず、僕の突かれたくない場所をあえて突いてくる感じ。
僕は彼に勝てることはない、言葉で
だからきっと余計に面白がられてる。
くにおに「想いを伝えてみればいい」って昨日言われたっけ。
僕もつい伝えてみようかな、なんて言ってしまった。
だけど、所詮遊ばれてる僕が、そんなこと言っても…
その時だ。
そう話しかけてきたのは、生徒会のメンバーだった。
見た感じ、4、5人ほどでまわって歩いているっぽい。
そう言われて僕は一瞬戸惑う。
どうしよう…なんて言うべき?
知り合い…って言い方はおかしいし、
この学校の生徒!って言うのもおかしいし
あ、近所の大学生のお兄さんとかいいのではないだろうか?
昔から仲良くって〜!ってことにすれば!
そう伝えようとした時だ。
ぎゅっと肩を手で引き寄せられて、長谷部さんの体にぴたっとくっついた。
僕が言う前に、先に長谷部さんが上手く言ってくれた。
笑顔で爽やかにそう受け答えしていたので驚いた。
別人みたいだなって、一瞬思ったから
兄弟…ってのは少しむりがあるような気もするけれど
だけど、なんだか嬉しいような気がする。
僕もそれに合わせて言葉を返す。
というか、長谷部さんが体を引き寄せたままで身動きが全く取れない。
いや、身動きは取れるはずなんだけど体が何故だか言うことを聞かない。
僕はそう言い、彼らと別れた。
そう長谷部さんは言った。
それはいつもの笑みに戻っていた。
というか敬語はなし、そして呼び方を急に変えろって言われても、⁉︎
まぁ、とりあえずの呼び名だからなぁ…ここでだけ、だし
僕も何かしら考えなきゃってことか
…こういうものに無駄に悩みすぎる癖がある。
何がいいのか…いや、何でもいいとは思うけど
呼びやすくて、原型が残ってる呼び名
わりと兄弟っぽいんじゃないかな、とは思う
兄弟がいなくて距離感の掴み方が分からないんだけどね
ニコニコしながら、長谷部さんはそう言う。
くっ……ズバズバと変えた呼び名で呼んできてるのに、僕は中々返せない
なんだろう…これは恥ずかしい、って感情なのかな
目線を合わせずに、床をじっと眺めながらもなんとか声にする
だけどしばらく沈黙が生まれた。
こうやって焦らしてくるから僕はさらに恥ずかしくなる、
きっとそれをわかってるから、わざとって知っている。
まさかの予想外だったの⁉︎
僕の勇気と決意は一体……
その時だった。
話しかけてきたのは教師だった。
廊下で立ち止まって長谷部さんと話していたところをちょうど話しかけられた。
僕に、長谷部さんに会いに行ってくれと言った張本人である。
気まずい…だなんて思う雰囲気もなく長谷部さんは教師に挨拶した。
僕はなんか若干気まずいのですが、
絶対に僕に対しての連絡だと思ったのにまさかの長谷部さんにでびっくりした。
と言っても、伝えたいことって何?
まぁ3年も留年を続けていればそりゃ言いたいことはたくさんありそうだけど、
だけど、その言葉は予想外の台詞であった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。