第29話

中原中也の食事事情
5,008
2024/03/21 09:09 更新
まず初めに、これは私が衝動で書いたもので本編には関係の無いものです。

本当に文って感じの文なので(?)読みにくいと思います。

本編に関係ないので、読まなくても全く支障有りません。
『気付いたら、見知らぬ荒地に裸で横たわっていた。』

そんな、物語の始まりの様な言葉が頭に過った


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よく姪が「メシマズ世界線で美味しいご飯を布教する」と言うような内容の物語を読んでいた。
何でも、「食べたキャラの反応や食べ物の表現がとてもいいんだよね!こう、自分も食べたくなって、、所謂飯テロ的な?」「あぁ〜こう言う世界線っていいよね、俺TUEEEEな感じで!」らしい。


でもな、姪よ

現実そんな甘くないんだぜ?



「? どうした中也、食わないのか?」

「、、いや、食う」

そう言って俺は白くドロドロとした何かをスプーンで掬いとる。ゆっくりと口に運び咀嚼する。そして、死んだ目になった。

噛んでも、スープ状になっており食感がない。味は申し訳程度の肉の風味がするだけ。風味なんて言い方をしているが、塩胡椒も振っていないただ焼いた(しかも焦げた)肉の味だ。それも、よく味合わないと分からない程度の。
それになんだ?飲み込んだ後に残るこの気色悪い粘付きは?味しないのに後味残るってなんだ?は???


「、、ご馳走様」

「えっ!?中也もういいのか?コレ滅多に御目にかかれない肉味だぜ!?!」

「おう、俺の分も食っていいぞ」

「もう、中也ってほんと少食だよねぇ〜」

「んな事ねぇよ」


本当にそんなことは無い。米と焼き魚とかがあったら何杯でも食えるわ

ただこの世界の飯が美味しく無いだけ





まじで何なんだこの世界!飯がちっとも美味くねぇ!!
味付けという言葉を知らないのか!?否、味をつけた料理はあるのだ。肉を焼く時に塩や胡椒もちゃんと降っている。ただ、量が可笑しい。
え?牛肉一切れ焼くためだけに塩胡椒瓶1本分全てかける?頭イカれてんのか普通に高血圧で死ぬわ阿呆。しかも何だ?焼いて焦げが全体に着いたら食べ頃?焦げたら焦げた分だけいい?莫迦かよんなの肉固くなって食べられねぇーよ。あ、因みに魚も“そう”だからな?もうダークマターだからな??嘘じゃねぇぞ。
それを美味しそうに食うこの世界の人類はマジで頭可笑しい。
しかも、此処の世界の住人は料理をしない。否するっちゃするんだが料理する奴は大抵変人扱いされる。俺も羊の奴らの前で料理を作ろうとして変な目で見られた。まぁ、結局作らなかったが。
この世界の奴らが食ってんのは大体サプリメントか味のしないゼリーのようなもの、カッチコチのパン。砂糖の塊(お菓子)は高級品だ。


いや、マジで。本当に辛い

なぁ、姪よ

お前が読んでた漫画の主人公、すげえな。尊敬する。でもな、多分その世界の主人公、調味料とかその世界に存在してたり、元料理人とか、料理詳しい奴なんだろう?







俺、料理なんて出来ねぇよ。


いや、チャーハンとか、味噌汁とか
そんぐらいは作れるんだ。けどな、それは調味料と言う大金星がいたからだ。味の素とか、コンソメとか。そー言うのがあるから作れたんだ。

けど、けどな、、


この世界、味噌も無ければ醤油もねぇ糞みてぇな世界なんだよ(死んだ目)


塩とか胡椒はあるんだ。砂糖も
でも、でもな、、、味噌とか醤油とか、コンソメとか味の素、出汁とか主婦の味方がねぇーんだよ

そんな世界で、俺が料理作れるわけねぇだろ?
多分と言うか確実にお前でも無理だ

しかも、炊飯器もねぇんだぜ?考えられるか?
どうやって米炊くんだよ莫迦野郎。

米はあるんだぜ?米は
みぃーんなお粥見てぇなのにして味付けもしねぇで食ってるよ。美味い美味いっつてさ


はぁ、、、

















「もう、、耐えられねぇーよぉぉおおお!!!!!!」


俺は人が居ないのをいい事に、心の底からそう叫んだ。











_____________________




「此処が、今日から君が住む家だ」

そこはマフィアのセイフティーハウス。マフィア構成員の大半が此処で暮らしている。一見何処にでもあるマンションだが、窓は全て防弾硝子で出来ており、いざと言う時の逃亡経路まである。それも、各部屋違う逃走経路だ。


俺はまぁ、色々あり《羊》を抜け(と言うか無くなった)《ポートマフィア》に入った。
今まで暮らしてきた《羊》の拠点からマフィアの所有するセイフティーハウスに移ることになり、簡単に荷物を纏め、ついに新居にやって来た。


ドアを開けられた俺は、ゆっくりと中へ入り辺りを見渡した。1LDKの広々とした、たかが齢15の少年一人が住むには少々広すぎる家。
つい呆然としている俺に、案内人の太宰は役目は終えたとばかりに足速に去っていった。

[1LDK]
それは、部屋一つと、8畳以上のLDK、リビング、ダイニング、キッチンがある間取りの事を指す。

、、、そう。“キッチン”があるのだ。此処には



少し、この世界に生れ落ちたばかりの頃の話をしよう。
俺はこの頃まだこの世界がメシマズ世界線だと知らなかった。だから、食べものを貰った時は何かのいじめかと思ったのだ。[パン]と言われ差し出されたのが、岩石のように黒くパサパサで、まるで炭を食べているような食感と苦味とエグ味。まぁ、新参者にはそーいう扱いなのだなと謎の大人の余裕(笑)を見せ、仕方ないので自分で何か簡単なものを作ろうと思った。そこで、そこそこ仲が良い仲間にキッチンは何処かと聞いてみた所、なんと吃驚キッチンなんて無いと言われたのだ。それは此処が貧しい場所だからかと思いきや、普通にキッキン付きの家なんてそうそう無いらしい。この世界では料理する人なんて滅多に居らず、キッチンなんて設備は極僅かなカワリモノしか頼まないのだそう。
まぁ、何が言いたいかっていうと、、、





「キッチン最こぉおおおおうっ!!」


にやける口元、興奮して少し赤らんだ頬。つい大声で叫びそうになり口を手で覆う。
だって、仕方が無いだろう。この世界に生まれ落ちてこの方料理出来る場なんて無かったのだ。興奮してしまうのも仕方ないだろう。別に、料理が好きとか、そういう訳では無い。けれど、けれどだ。キッチンがあるのと無いのじゃ訳が違う。

今日は引越しという事で1日休みを頂いた。
引越してまず初めることと言えば_______










_______そう、買い物だ。














「ふぅー…買い過ぎたか?、、いや、そうでもねぇか」

持っていた荷物をどさりと床に置き、量の多さに少し自分に呆れた。こんなに買ってどうすんだ、一人暮らしだぞ?そんな要らねぇだろ。いやでも仕方ねぇだろ興奮しちゃったんだからあ!不可抗力だ不可抗力!!

備え付けの冷蔵庫に次々と食材を入れ、フライパンや土鍋。トングや包丁、ボウル等などをキッチンに収納していく。粗方片し終わり、1つ息を満足気に吐く。
目の前には新品のピカピカ調理器具が綺麗に並んでおり見ていて心地がいい。今なら何でも作れそうだ

さて、(今世)初のまともな食事。何を作ろうか
と言っても作れるものは限られていて、今の俺に出来る事と言えば焼き魚やお浸し、、米も、一応できないことは無い。まぁ、レパートリーはこれから何とか増やしていくとして、今日の飯だ。

「、、うし、決めた」

今日はシンプルに焼き魚と白米にしよう。
おい誰だ今野菜とれって言った奴。仕方ねぇだろドレッシングもマヨネーズもねぇーんだから!


先ず、買ってきたコメを研ぐ。ザルに入れゴシゴシと擦り付け、白いのが出て来なくなったら土鍋へ入れた。さて、ここからが問題だ。水はどのくらい入れればいい?火は?中火?強火?それとも弱火?まぁ何にせよ初めての土鍋ご飯だ。失敗は付き物、焦らずいこう。

取り敢えず水に浸し、10分程放置する。
確か土鍋は放置時間が必要だと姉が言っていたような気がするのでやってみた。10年以上主婦やっている人の言葉の重みは違う。
次に、適当な水を入れ、取り敢えず強火で炊く。炊飯器は大体1時間程度で炊きあがるので、1時間放置。と思ったけど心配なので40分で火を止めた。
これで完成と言って蓋を開けてもいいのだが、ここは勇気を振り絞ってもう10分程火にかける事にした。強火にする勇気はさすがに無かったので、弱火にかけた。
さて、そうしている間に魚を焼いていく。買ってきた魚を水洗いし、キッチンペーパーで綺麗に拭き取り、丁度いい、適切な量の塩をフライパンで焼いていく。
この家は(この世界では本当に珍しい)3コンロなので、同時に料理が出来る。フライパンが熱くなってきたら油を少量敷き、皮の方から焼いていく。丁度いい、焦げない程度にやけたらひっくり返し、蓋をし蒸し焼きにする。うん、いい感じ。美味そうな匂いが漂ってきた。はぁ〜、、これだよこれ!食欲をそそられるこの匂い!!堪んねぇ〜!!!お、米ももうそろそろいいかな

「〜♪」

鼻歌混じりに焼けた魚をお皿に移す。うん、美味しそう。これで醤油とかあったら大根おろしと一緒にして食べるのに、、まぁ、贅沢は言ってられないな。また今度醤油作り頑張ってみよう。確か、、麹菌?が必要だったきがする。、、、、ウン、出来ない夢を見るのもここてでに、、、、米だ。

さっきから緊張して蓋を開けられていなかったな、もうお腹ぺこぺこなので思い切って開けることにする。、、どうしよう、これでカッチコチだったり逆にふんにゃんふにゃんだったら。まぁ、その時はその時で美味しく炊けるよう努力しよう


「、、いざ、オープンっ!、、っ、ぉおっ!!」

白米だ!白米だ!!!!すごいすごいっ!ちゃんとした白米だ!!ドロドロじゃ無い!原型留めてる!!!
ふわりと湯気が立ちぷっくりふわふわの土鍋ご飯を器に掬う。我慢出来ずには出来たての白米を一口パクリ。

「っ!……!!」

熱い、熱い。冷ましもせずに口へ放り込んだせいで舌を火傷をしたが、そんな事は些細な事だ。少し芯が残っていたけれど、初めてにしては上出来だろう。噛めば噛む程ほんのりとした甘みが口の中に広がっていく。あぁ、これこそお米。日本人のこころ。
土鍋ご飯は初めて作ったけど普通に炊飯器で炊くのとは訳が違うな。こっちの方が美味しい。最高、もう、ほんと最高。生きてて良かった


次に焼き魚。此方はまぁ上手に出来た。
味付けという味付けはして無いが、まぁ十分に美味しいと思うし、大丈夫だろう。
焦げ無し、炭じゃない、ふっくらとして丁度食べ頃な綺麗な色合い。

「……」

じゅるり。涎を手で拭きながら身に箸を入れる。弾力があり、サクッと簡単に割けた。湯気をユラユラと立たせる鮭をパクリ。

「っ!……!!!う、うまぁ、、」


口に含むと丁度いい塩加減とじゅっと出るうんまい汁。はぁ、、しあわせぇ、、、



_______こうして、俺の(今世)初めてのマトモな食事は終わった。















ピロン

【調理Lv1が開放されました。】
【この調子でLv10まで達成させましょう。】




ふと、脳裏に正しい米の炊き方と魚の処理の仕方が思い浮かび、焼き付いた






―――――――――――――――――――――――――



「げえっ」

心底軽蔑した様な声色で、まるで汚物を見る様な目線で此方を見る

「中也きみ、悪食だったの?」

此処はマフィアのセーフティハウスの一つ。とある小柄な中級構成員の隠れ蓑。そこに突然やって来た包帯まみれの男はそう言った。それに対しこの家の主_______中原中也である俺は、地獄の底から絞り出し様な声を出した。

「あ”?」















遡ること、数十分前

マフィアになって半年が過ぎ、マフィアに馴染んで、染まって言った俺は何時も道理仕事から帰り、飯の支度をしていた。
今日は蟹。海岸近くでの仕事帰りに破棄されようとしていた蟹を見付けて漁師のオッサンから譲って貰った品物だ。どうやら此方の世界では蟹は食わないらしい。勿体無い。そのお陰で無料で大量に譲って貰えたんだから有り難い事なんだか。
まぁそんなこんなで俺は浮かれていた。それはもう、帰りに太宰のウザ絡みに笑顔で対処出来る位。でも、それがいけなかったのだろう。



俺は頭に浮かんだ調理法を淡々とこなして行く。

先ず、蟹をよく束子で擦りながら水洗いし、大きな鍋に水を入れ、塩も入れて火をつける。沸騰した鍋に蟹を裏向けにした状態で入れ20分程茹でる。途中途中でアク取りをしたら、完成だ。

鍋から大きい蟹だけを取りだしじっくりと眺める。うん、綺麗な赤。美味しそう。
もう此処で食べてしまいたいが、我慢する。じゅるりと出る涎を拭いて丁寧に足を切っていく。その内の何本かを関節部分も切って細かくし棘の少ない方を剥く。
これで下準備は完了。


「うし、食うか!」

満面の笑みでそう言い、茹でた蟹の足を手に取る。関節部分をぐいっと曲げれば、ぷりぷりとした美しい身が出てくる。それだけでテンションが上がる。
はわわわ、おっきい!おっきいなぁ!すごいすごい!こんなの見た事ない!すごいすごぉい!
なんて脳内で幼女の様に大燥ぎして、大きく口を開けてパクリ。

「うまあぁ、、」

そこからはもう、無我夢中で食った。人間、本当に美味しいものを目の前にすると無言になるものである。パクリ、パクリ。ゴックン、パクリ。それを繰り返してハッと気付いた。未だ、“アレ”と“アレ”をやっていない!

俺は直ぐさまキッチンへ向かった。
そして小さな蟹が入った儘の鍋に火を付け、その蟹を割る。温まるまでの間に長葱を切り其の儘鍋に投入。丁度温まった鍋を掻き混ぜると懐かしい、恋しかった匂いが漂う。もう、何を作ったのか分かっただろう。そう、蟹味噌汁だ。一口味見をしたらそれの美味い事ったら!此処で1杯全て飲まなかった俺を誰か褒めて欲しい。
ルンルン気分でお椀によそい、ガスコンロを取り出して、その2つを持ってリビングへ戻った。
そして、そこには_______





「げえっ」

「中也きみ、悪食だったの?」


_______糞野郎が居た。


「あ“?」

何で此奴此処にいんだ?鍵閉めたよな?いや、此奴相手に鍵どうのこうのは通じない。否、今気にすべきはそこじゃない。何故、“態々俺の家に来たのか”だ。

「手前、、何しに来た」

警戒剥き出しの俺を前に態とらしくキョトンとした顔を作りニコリと笑う。

「君が如何にも御機嫌だったものだから、気になって来ちゃった」

語尾にハートが付きそうなほど甘ったるい声でそう云った。そして次の瞬間、此方を見下す様な嘲笑をして喋り出す。

「いやァ真逆君にこんな趣味があるだ何て驚いた。いいネタが手に入ったよ、“今週の負け惜しみ中也”はコレで決まりだね!」

嫌味ったらしい言い草でそんな事を抜かす糞太宰をみて、俺は瞬時に理解した。

あ、これ、長くなるやつ_______


そうなると俺は早かった。太宰の言葉を右から左へ聞き流しコトリと味噌汁とガスコンロを置く。座ろうとした所でフライパンをら持ってくるのを忘れた事に気がついたのでもう一度キッチンへ向かう。あぁそうだ。“アレ”にはすだちが合うからって態々買っておいたのを忘れていた。4等分に切り分けて小皿に置いてフライパンと一緒にリビングへ持っていったら、何故か不満顔の太宰が此方を睨んでいた。まぁ別に気にすることは無いと無視しすだちとフライパンを置き、フライパンを火にかける。予め関節部分を切って反面を剥いた蟹を熱したフライパンに殻を下にして置き、中火で3分蓋をする。

「ねぇ聞いてる?何してるんだいそれはなに?なんか変な匂いするけどねえ中也__」

…少し雑音が五月蝿ぇが気にしない。俺は無視を決め込んで3分待つ間に蟹味噌を一口。

「〜〜ッ!!!」

「え、ちょっと中也?真逆それ毒なの?ねぇ毒なの?」

うっっま!!えっうんっま!!!
久しぶりの味噌汁ってのもあるけど、何より蟹味噌っ
てのが大きい。普通の味噌汁よりこう、、なんて言うか蟹って感じで!!あぁ駄目だ美味すぎて語彙力無くなってやがる。はぁああ、、身体に染みるぅ、、

おっと、そろそろ3分経ったな。蓋を開けるとふんわりと漂う焼き蟹の良い匂い

「はぅ、、うまそぉ」

熱々の焼き蟹を一つ取り出し身をほぐし一口。

「〜〜ッ!んっっま♡」

噛めば噛む程出るうま味!これこそ正に辞められない止まらないと言うやつだ!焼き蟹最高!焼き蟹万歳!


「……ねぇ、ちゅうやぁ?」

ビクリ
背筋が凍り付いたような錯覚が起こった。
焼き蟹や蟹味噌汁の美味しさの所為で忘れていたが、此奴居るんだった。

「…んだよ」

「先刻から私を無視していい度胸だねえ?で?そのゲタモノはなに?」

ゲダモノ、、、、、、もしかしなくても蟹の事か

「なぁにその色。食べ物がしていい色じゃないでしょ」

心底気色悪いと、ゲダモノ食いだと、そう告げられ俺は、、俺は_______












心底同情する様な、可哀想なモノを見る目で太宰を見詰めた

「え、何だいその目!何なに何で僕哀れまれてんの?」


「…別に、何でもねぇよ」

そう哀れみの目を向けてパクリ。
こんなに美味しいものを知らない何て可哀想な奴。否、可哀想な世界。

「…仕方ねぇな」

そう言い俺は蟹を手に取り殻を剥く。綺麗に取れた蟹の身を目の前にプランと揺らし、次に太宰を見る。
不満げに、何をしているのだと言いたげな目線で此方を睨み付けている。そんな、美味しいものを知らぬ哀れな子供に俺は_____




「ぅおらぁあ!!」

「むぐぅっ!?!?!」



_____口目掛けて蟹を突っ込んだ。
一瞬何をされたが分からないと言うような顔をしていたが、次の瞬間目をこれでもかと見開きモグモグと口を動かしていた。何時もの死んだ魚のような目は何処へやら、キラッキラに目が輝いている。
そんな様子に頬を緩ませつつ、食べ頃になった焼き蟹にすだちを絞りかける。程よい酸味が舌を刺激しつつ、蟹の美味さを引き立たせる。うん美味い。
チラリ。太宰が立っていた方へ目線を向けるとそこにはおらず、いつの間には真正面の椅子に座って蟹を凝視していた。そんな太宰に俺はニヤリとし揶揄う様な声色で「美味いだろ?ゲダモノ」と言いお前も悪食だと笑った。そんな俺に太宰は目を漸く此方に向けパチクリと、今度は本気で驚いたような顔をした。

仕方が無いから、俺は太宰の分の取り皿を持って来てやり蟹を目の前で剥いて其の儘食べて見せた。それを見て太宰は見様見真似で挑戦し、綺麗に剥けた蟹におぉ、と感嘆の声をら漏らしてかパクリ。又も目にハイライトが入る。そして次々に蟹を手に取り剥いては食べ剥いては食べを繰り返していた。
へぇ、以外に美味そうに食うな此奴。

久しぶり、というか(今世)初めて誰かと食卓を共にした俺は少し浮かれていた。例えそれが大嫌いな奴だとしても。だから、蟹味噌汁をよそってきてやり差し出す。

「これは?」

「蟹味噌汁。うめぇぞ」

「ふぅん、、、ねぇ、これ茶色いけど本当に大丈夫?て言うか待って。蟹?え、カニってあの蟹???」

「手間が想像してる蟹で間違いねぇーよ。要らねぇなら下げる」

「……」

「ぶっ、くくっ」

そう言うと無言で味噌汁を両手で抱えるもんだから、つい笑ってしまう。そんな俺が気に食わないのか睨み付けられる。が、それを無視して自分の分の味噌汁を飲むと渋々と言った様に味噌汁に口をつけた。
その様子をじっと見ているとポツリと「美味しい、、」と零してほっと息をついた。







粗方食べ終わった処で、俺は太宰を玄関までやっとの思いで向かわせることに成功した。追い出されそうになり不機嫌ですと顔に書いてある其奴を見て、ふと姪と太宰を重ねてしまい頭を撫でた。出会った頃より少し開いた身長(誤差だが、たった数ミリの本当に誤差だが)を忌々しく思うと同時に今頃彼奴は、姪は何をやっているのだろうかと思い浮かべる。彼奴も身長は伸びているのだろうか。伸びてるだろうな、姉さんもそうだけど、旦那さんも身長高かったからな、、それに比べて俺は、、、いや、俺だって未だ10代。伸び代は大いにある!!!、、筈。


「ねぇ、」

不満げに、不愉快そうに。撫でていた手を掴みグイッと引っ張る。

「中也さぁ、、もしかして羊の子達にもこういう事してたの?」

こういう事。撫でる行為の事だろうか?それなら滅茶苦茶してた。


「あー、、そうだな。餓鬼が大半だからよくやってた」


だって可愛いじゃん、ちっちゃい子がぱぁあっ!って効果音が付きそうな程おメメ輝かせて自分の名前呼ぶんだぞ?撫でたくもなるだろう。、、おい誰だ今俺の事を幼女趣味って言った奴出て来い!!!俺は首領とは違ぇーよばぁあああか!!!

「そうじゃなくて、、、ご飯、作ってあげてたの?」

「あ?、、いや、飯は台所が無かったしやってねぇけど、、」

「へえぇ?そう」


途端上機嫌になり俺の手をパッと離した太宰に疑心の目を送る。こう言う時大概ろくな事考えてねぇ、、家に何が仕掛けられたか?、、、そう言えば何太宰を不用心に家に招いて尚且つ飯食わせてやってんだよ俺!爆弾とか仕掛けられてたらどうすんだよ俺の莫迦ぁ!!

さっと顔色を失った俺にニコリと綺麗に笑いかける姿はまるで悪魔の様。
クソやっちまったァ!!!!


「じゃあ、また明日。早く寝ないと身長伸びないよ?あっ、もう無理か!」

「死ねクソ鯖ぁぁああ!!!」

「あっはははっ!」



太宰の頭目掛けて蹴りを繰り出すが、サッと避けられ其の儘帰った。まぁ、避けられるのは承知の上なので此処は大人しく()帰って貰えたという事で良しとしよう。












そして、翌日


「やぁ中也!今日のご飯はなんだい?」

「なんっっっっっで居んだよ!?!?!」





その日から太宰が飯をたかりに来たのは言うまでも無い。そして、太宰と飯を食うのが当たり前になるまで後_______



中原中也(成り代わり)
飯まず世界線に転生した男性。
此処がアニメの世界だとは気付いていない。
姪の面倒を共働きの姉夫婦の変わりによく見てたので実の娘の様に思ってる。彼女いないのに子供が出来た()。性格はほぼ原作道理だが、ちっちゃい子や中学生位の子をみると少し父親風吹かせる。
料理は簡単なもの(野菜炒めや焼きそば、オムライスにチャーハン等など)は作れていたがそれは万能調味料があったお陰でありそれが無ければなんにも出来ない。料理をしていく内に何故かポンポン頭ん中に調理法が浮かんでくる。ヒント:転生特典



続き書くかもしれないし書かないかもしれない

と言うか需要無いと思うので自分のうちの中にだけ留めて置く予定です。

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