私は急いで準備し 、外に出る 。
冬の夜は寒いなぁ……
今回の待ち合わせは……駅前か 。
駅までできる限り走ってきたが、ちょっとヒールのある靴を履いてきてしまったので足が痛む 。
そんなに歩く予定もないし、少し我慢すれば大丈夫だろう。
iemonさんはどこだ……?
そこそこ大きめの声を出し 、iemonさんが待っているところに小走りで向かう 。
お、iemonさんも気が付いたみたい 。
目が合い 、ニコッと微笑まれた 。
ほんとドキドキさせるの上手いな……
当たり前のように自然と絡められた彼の手は 、冷たくなっていた 。
夜の街を歩いていると 、見知った人の後ろ姿が見えた 。
iemonさんに彼女がいることも驚くだろうし 、それが私だと知るともっと驚くだろう 。
普段は男性として接しているんだから 。
ばれないように 、しないと 。
ばれたらまた私の人生は終了するから 。
丘のような周囲より高くなっているところで話していると 、iemonさんが何気なく呟く 。
もう何回も性別を転換して生きてきたら 、どっちが本当なのか分からなくなってしまった 。
もしかしたら中性なのかもしれない 。
そっけない返事 。
iemonさんでもこれは引いたかな……
飽きられたかな……
また性別変えようかな……
本当に 、ずるい人 。
なんだこれ()
めめさんは両声類ってやつですね、
昔から性別について悩んでて、自分でもよく分からないようなやつ(???)
ここ最近結構浮上してないですか⁈
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!