第40話

間章 始まったばかりの物語
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2025/04/04 08:07 更新
『ようやく一区切り付いたんです…今回も許してくれますよね。』
『私は機械じゃないんですよ、"語り部"を役割としているだけの…れっきとした生命です。』
『たくさん話したくなる事だってあるんです、心の中っていうのは大抵うるさいものでしょう?』
エモル
随分と疲れた顔をしているな。まぁ…理由ははっきりしているが。
地面の砂を掴んで投げては星のように舞い落ちるさまを眺めていたら、エモルが私の顔を覗き込んで言ってきた。
今回は"前回"と違ってちゃんとした休憩時間・・・・だから、「仕事を放棄するな」とかは言わないでくれる。
これだけでも結構ありがたい。
基本無表情で時々悲しい顔をするだけだけど、エモルはすごく優しいんだっていうのを私は知っている。
あぁ、これは面と向かって触れ合う中で分かった、"体験"ね。
勝手に頭に入る"知識"じゃなくて。
リアリス
今人工の星を見ながら、一人反省会してたんだけど…どんな感想出たか聞く?
エモル
お前は言いたいんだろう、聞くさ。
こういう事も表情を動かさずに言えるのは、モテる男の条件だったりするのかな。
私達に性別は無いも同然だし、恋愛は概念として知ってるだけであり得ないんだけど。
リアリス
…最初は慣れてなくて黙る事が多かったし、途中にはなんだかやっつけ仕事になってて、満足に仕事したって言えるのは最後の方だけ…って感じ。
エモル
お前も、お前なりの苦労をしているんだな。
リアリス
そう言うけど、苦労出来なかったってのもそれなりに大変だったんじゃない?
私は"物語を作る事"を強要されているけど、エモルは"世界を安定させる事"を強要されている。
干渉・・出来る時なんて殆ど無い。
世界はこんなにも幻想的なのに、それが人には伝わらない。
伝わったら…神の助けがいつでも与えられてしまったら、物語になる筈無いからね。
"物語"に囚われた私達は、こうやって過ごすしか無いの。
エモル
そうかもしれないがな…私の苦労は私だけの物だ、お前がどうこう言う必要は無い。
リアリス
流石、感情を司る神様は言う事が違うね。
エモル
…その言い方は辞めろ、結局私には何も支配出来ていないんだ。
ん…言う事間違えた、もっと素直に褒めるつもりだったのに。
さて、エモルは悲しい顔になってきた訳だけど…どうしようか。
エモル
申し訳なさそうにするなら、もっと考えてから口に出してくれ。
考えるより先に注意されてしまった。
確かに「申し訳ない」って表情になった自覚はあったけど、察するのが早過ぎる。
リアリス
いやぁごめん、いつも思考に思案を重ねて発言してるから、今くらい何も考えずに話したくて。
エモル
まぁ…だろうな。
言いたい事の三倍は察されている気がする。
今の一言は、どれくらいの事に対しての台詞なんだろう。
なんで否定するんだろうか、こんなに複雑な私の感情を完璧に読み取れているのに。
この力が嫌だって事なら、全力で同意するけど…多分そんな事じゃない。
"こんな事出来ても誰も助けられない"って事だ。
"この物語"は悲劇を描いている。
少なくとも私はそう解釈して語ってる。
どんなに力を持っていても、それで救えるのは人間登場人物の中でもごく僅か。
そんな状況じゃ、力を嫌悪するのも当たり前だろうね。
私の反省会に付き合うってだけだったから、エモルはもう行ってしまった。
"ここ"はそんなに広くないから、追いかければすぐ捕まえられるけどそうはしない。
私も、独り言を言いたくなる時はある。
リアリス
人かそれ以外かって…そんなに重要なのかな。
リアリス
どれであっても人に欲があって、それが克服も調和も出来なければ戦いは起きるのに。
この世界の真理、何度も自分で繰り返し言ってきた事に疑問をぶつけてみる。
リアリス
…重要なんだろうね、人を機械として扱う奴が居て、機械を人と扱う子も居るから。
リアリス
区別したいと思う人も、誰に対しても同じようにする人も居る。
なんか馬鹿みたいな事をしているな、私は。
一人で虚空に質問して、一人で勝手に答えてる。
これが馬鹿じゃなかったらなんだろう。
まぁでも、一人だから大丈夫。
リアリス
今大切なのは、彼らが少しずつでも前を見られているという事…。
そう、それだけで良い。
それだけでも、私は私であり続けられる。
リアリス
あ…そうだ、一つやり忘れた"仕事"があったんだ。
物語に区切りを付けるには宣言が必要、これをやって初めて私は、本当の意味で休憩が出来る。
〚第1部 「人と機械の境界線」完〛
『  』に続く
『それでは、しばし休息といきましょう。』
『私も、貴方も…。』

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