🥽「あんまり早く来んなよ」

これがあいつと会話した時の最後の言葉だった。

いつのことかは思い出せない。

夏の日、この言葉を交わしたっきり会えなくなった。

この日、雨が降っていたことも、この日のあいつの服装も、

思い出の場所だったってことも、夏だったってことも、思い出せるのに、

いつのことか、そして思い出の場所はどこにあるのかがわからない。

思い出したくても思い出せない。思い出の場所ってことはわかるけど、どこにあるかわからない。

もう一度会いたい。あって感謝を伝えたい。そして戻ってこいって言いたい。

あいつがいなくなってから、毎日がつまらなくなった。

あいつがいなくなってやっと、ありがたさがわかった。

何をしてもつまらなく、好きだったゲームや歌でさえもどうでも良くなってしまった。

今日もこんなつまらない毎日を過ごす。

今日はなんとなくつけたテレビにはニュースが映っていた。


いつもなら、どうでもいいと思ってしっかり見ないが、

今日はなぜかニュースから目が離せなかった。

ニュースは

『このビルで高校生の少年がいじめによって自殺してしまった事件から早5年、
  少年はいじめによって、、、、、、、、、、、命を大切にしましょう。』

このビル見たことある気がする、、、、

あぁ、そっか、、、そうだったんだ。

俺は全てを思い出した。そして全ての疑問が解決した。

、、、もっと早く気づいていれば、。

だから、いつも長袖だったんだね、。

だから最後の日が雨だったんだね、。

早く来んなってそう言うことだったんだね、。

俺は、あいつのいる場所がわかって、雨の日だったのにも関わらず何も持たずに家から出た。

周りの景色なんて覚えてない。何回雨の中滑っても、一直線に走った。

、、あいつのいる場所にあと少しで行ける。

あのビルの屋上まで来た。これでやっと、、、

🥽「ねぇ、うたくん、。」

、、なんで、あいつの声が、

🥽「俺のことなんか気にしないで。お願いだから俺と同じ道を歩まないで。
　   あと少し頑張って、“生きて”、」

、、、なんで、そんなこと言うの、、、

あとちょって出会えると思ったのに、、

そんなこと言われたら行けないじゃん、、、っ

🥽「ごめんな、、」





























ー内容ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まず、🥽は5年前に死んでいます。途中でニュースで取り上げられていた少年も🥽のことです。

🥽が死んだのは、夏の日。なのに長袖を着ていた。

それは、いじめによってできた怪我のせいで👓に心配をかけたくなかったから。

最後の日が雨だったのは、本当は👓と別れたくないが、

このままじゃ耐えられなくなった🥽の泣きたいような気持ちの表れ。

最後の場所がビルだったのはそのあと👓の目の前、ビルから落下自殺しているから。

ビルが思い出の場所なのは、🥽が死んだと言う苦しい方の思い出。脳は忘れていたが体は覚えていた。

思い出せないことがあるのは、目の前で🥽が死んだことがショックで👓は倒れているから。

倒れた直前のことは覚えていないため、🥽が死んだことも覚えてない。

また、👓が家を出た時、雨だったのは🥽と無意識に一緒になろうとしていたことの表れ。

全てがつまんなくなっていたのも👓が🥽に依存のような状態だったから。

最後、👓は🥽と同じように飛び降りることもできた。

しかし👓には🥽の声の幻聴が聞こえてしまった。そのため、死にたくても死ねなかった。

しかも、幻聴だとしてもあんなこと言われて仕舞えば、もう無理だ。

最後👓が苦しんでいるのは、🥽に会えると思ったのに会えなかったこと、

そして、“生きて”と言う呪いをかけられてしまったから。

さっきも言った通り👓は🥽に依存のような状態だった。

👓はいつしか自分よりも🥽が大事になっていた。

だから大事な人の願いは断れず、自分の意思を無理やり曲げるようなものとなった。

ある意味一種の呪いと言えるだろう。

最後に🥽が👓に謝っているわけは

先に死んで👓を一人にしたこと、

自分のせいで👓がここまで苦しんだこと、

そして、苦しんでるのに呪いをかけてしまったこと。

この三つにある。

おそらく、この先👓がまた自殺を試みたとしても、このことを思い出して死ねないだろう。

この先も👓は永遠と苦しむことになる、、、。