fl.side
文化祭は、僕が想像していた10倍は忙しかった
ただ一生懸命に動いては、お客さんに対応していった
一番窓側の席の大柄な男性が、僕を呼んだ
別に悪い人には見えなかった
でも、何か嫌な予感がした
胸がざわざわと音を立てる
僕はその瞬間、何が起きたのか理解ができなかった
ただ静かに、自分に向かう鼠色の鋭い刃先が
僕の太ももの数ミリ近くで止められていた
駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ
足が、手が、小刻みに震える
どうしよう、大声で叫べばいいか
刃物は机やら何やらで皆の死角になっていて
見えないようにちらちらと刃物を動かしていた
莫大な恐怖心でまともなことが考えられないまま、
僕はその人のあとについていってしまった。
hj.side
約束の時間はすでに20分も過ぎていた
心配になってリクスのクラスに行ってみたが、
俺との約束を放ってどこかへ行った?
いや、リクスに限ってそんなことあるはずがない。
…胸騒ぎがした
どこ行ったんだよ、マジで!!
人混みをかき分けながら、俺は走り出した
Next…
お待たせいたしました














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。