前の話
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放課後になると、僕は第2音楽室へ向かう。第2音楽室に向かうと言っても直接向かうわけではなく、それまでに倉庫に行かなければならない。ギターは教室には置けない。教室のロッカーは教科書が入るだけのスペースしかなく、そのスペースも山積みのプリントで最早何も入らない。明日ちゃんと開いてくれるかどうかもわからないのだ。そんなわけで、ギターは登校の際に倉庫に置いている。軽音学部の倉庫は校舎の東階段を下って一階にある。倉庫から5キロはあるであろうギターを背負い、今度は西階段へ向かう。第2音楽室は3階の西階段の端にある。この端から端に移動させられているような感覚がキツい。かなり。そんな重労働を終え、第2音楽室に着くとそこには誰もいない。やはりこのバンドは解散なのだろうか。
僕が所属する軽音学部では、入部してすぐに同級生とバンドを組む。僕たちが組んだバンドはボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人体制だ。僕はギターを担当している。ベースとドラムは吹奏楽部との兼部で基本的に練習には来ない。ボーカルはなぜか来ない。そんなわけで基本的には1人で練習をすることが多い。吹奏楽部の2人はたまに来てくれるんだけどね。準備室からアンプを取り出し、窓際のコンセントにプラグを指す。ギグバッグからストラトとシールドを取り出す。クリップチューナーはつけっぱなし。シールドとギターを繋ぎ、シールドをアンプに直にさす。まだエフェクターは買ってない。最初に買うならマルチエフェクターかななんて思いながら、コンパクトも捨てがたいなと迷って3ヶ月が経つ。アンプのボリュームが0になっていることを確認して電源をつけた。後ろを振り返るとそこには枯尾ハナがいつものように教室の机に座っていた。









![[参加型] 一秒後、生きているために](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/fLidrLhRSUUik4ZkTr7M83BhU0V2/cover/01KFWRGFA3BGWC967JFSA6HYHR_resized_240x340.jpg)


編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!