side響
あぁ
俺は……
なんてことを言ってしまったんだろう
來に感情がないことは知ってたはずなのに
あの時來は俺のことを信じて言ってくれたのに
俺は
最低や
冷静でなんか居られない
今の俺がいるのは確実に來のおかげ
俺も來にとってそんな存在になりたかった
初めて会った時
どこかに消えてしまいそうだったから
いなくなってしまいそうだったから
でもそんな綺麗なこと考えてなかった
來を救って満足したかっただけ
あの時の俺は來を自己満足を満たすために使いたかっただけ
でも來は信じてくれた
こんな汚ぇ俺のことを
それだけでも心が綺麗になれた気がして
救われた
それなのに
來はいなくなってしまった
あぁ
もう無理なんやなって
俺はもう普通じゃ居られへん
お前が居なきゃ
なんにもやる気がおきへん
もう……
おわりや
こんなん
來が居ないなら
俺ってこんな來に依存してたんやなぁと思う
周りを見渡す
翠が零に話しかけとる
当の零はずっとブツブツ呟いとる
はは……
ほんまあいつら仲直りしてよかったなぁ
それも來おかげかw
俺達ほんまあいつに頼りっぱなしやなぁ
でももうあいつは帰ってこない
俺が
俺が來に嘘をついたから
來に絶対に裏切らないって言ったのに
ほんまにダメやなぁ
俺はそのままフラフラと立ち上がり
二度と来ないであろう
生徒会室
赤城学園を後にした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!