カーテンの隙間から、柔らかな朝の光が差し込んでくる。鳥のさえずりと、静かな寝息だけが響くベッドの中。
蘭がゆっくりと目を覚ますと、すぐ目の前には、愛しい人の寝顔があった。
蘭「(……あ、本当に照さんの家に泊まったんだ……)」
昨夜はお互いに仕事が早く終わり、初めて最初から最後まで二人きりで夜を過ごした。
ステージの上では誰よりも大きく見える照の体が、今は蘭を包み込むようにして、ぎゅっと抱きしめたまま眠っている。
普段は見られない、前髪を下ろした無防備な寝顔が愛おしくて、蘭はそっと彼の頬に触れた。
照「ん……っ……」照が小さく声を漏らし、ゆっくりと瞼を開ける。
少し眠そうな、だけど優しい瞳が蘭を捉えた。
照「……おはよ、蘭」
蘭「おはようございます、照さん。起こしちゃいましたか?」
照「ううん、蘭ちゃんの気配がしたから。……おいで」
照はさらに腕の力を強め、蘭の体を自分の胸元へと引き寄せた。
布団の中で二人の体温が重なり合い、照の体から漂うほのかなシトラスの香りが、蘭の心をふわっと満たしていく。
蘭「照さん、もう起きないと……今日はお昼から練習だって言ってましたよね?」
照「やだ。あと5分……いや、あと30分このままでいる」
蘭「30分は長すぎますって(笑)。ほら、シャキッとしてください」
蘭がクスッと笑って照の胸をぽんぽんと叩くと、照はわざと意地悪そうに目を細めた。
照「朝からそんなに元気なら、お仕置きね」
蘭「えっ、わ……っ!?」
次の瞬間、照は蘭の体を軽々とひっくり返し、ベッドの上に押し倒すようにして上から覆いかぶさった。
逃げられないように両手首を優しくベッドに固定され、蘭は一気に顔が赤くなる。
照「朝から他のことばっかり考えて。目の前に俺がいるんだから、俺のことだけ見てよ」
蘭「み、見てます……っ。照さん、朝からカッコよすぎて直視できないだけです……」
蘭が恥ずかしそうに視線をそらすと、照は嬉しそうにフッと低く笑った。
照「そういう可愛いこと言うの、本当にずるい」
そう言うと、照は蘭の額に、鼻筋に、そして最後に唇に、優しく何度もキスを落とした。
起き抜けの、少し掠れた低い声と、体全体から伝わってくる彼の熱。蘭の体からすっかり力が抜けていく。
照「……ふぅ。これで今日も1日頑張れるわ。蘭ちゃんのエネルギー補給完了」
照は蘭の隣にコロンと転がると、今度は蘭の手を恋人繋ぎでぎゅっと握りしめた。
照「新曲のダンス、また厳しく指導しちゃうかもしれないけど……終わったらまた、こうやって甘えさせてね?」
蘭「ふふ、はい。私も、照さんのこと応援してます」
どんなに忙しくて、誰にも言えない秘密の恋だとしても。この温かい朝の特権がある限り、二人はどこまでも強く、輝き続けられる。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。