昼休みの食堂は、すでにピークを過ぎた頃だった。
窓から差し込む光が、テーブルの上にゆっくりと動いている。
カレーの匂いと、揚げ物の油の匂いが混じり合い、どこか怠惰で、どこか心地よい空気が漂っていた。
学生たちの会話はまだ続いているけれど、さっきほど騒がしくはない。
そんな中、食堂の隅のテーブルで、私はひよりと二人でお昼ご飯を食べていた。
派手なネイル。
キラキラのアクセサリー。
完璧にセットされた髪。
どこからどう見てもギャル。
この女の子は、牧野ひより。
大学一年生。
流行りにはめちゃくちゃ敏感で、ノリもテンションも高い。
いつも私をからかってきて、それでもなぜか離れたくならない友人だ。
ひよりがフォークを置いて、私をじっと見た。
呆れたように眉を寄せる。
その目は、いつものノリとは少し違って、本気で呆れているように見えた。
ひよりがケラケラと笑い出した。
声が大きくて、隣のテーブルの学生がちらりとこちらを見る。
ひよりが私の真似をした。
口元を緩めて、どこか無責任そうな笑顔を作る。
ひよりが急に身を乗り出した。
机の上に肘をつき、真剣な顔になる。
私は箸を止めた。
真剣に考える。
私は机に突っ伏した。
額に冷たい机の感触がする。
ひよりがスマホを取り出した。
待ち受け画面には、彼氏とのツーショット。
二人で並んで笑っている写真が、画面いっぱいに広がっている。
ひよりはドヤ顔でスマホをしまった。
ひよりが机をバンッと叩いた。
音が大きくて、また周囲がちらりとこちらを見る。
ひよりが呆れたように私を見た。
それから、急にニヤリと笑う。
ふと、昨日のことを思い出した。
ひよりの動きが止まった。
フォークを持った手が、空中で固まる。
突然、ひよりが机を叩いて爆笑し始めた。
涙が目尻からこぼれそうな勢いだ。
ひよりが涙を拭きながら笑っている。
肩が揺れて、ネイルが光る。
二人で顔を見合わせて、また笑い出した。
ひよりが笑いながら息を整える。
ひよりが私の肩を掴んだ。
ネイルが少し痛い。
ゆっくり振り返る。
そこに立っていたのは、満面の笑みを浮かべた大智だった。
大智がテーブルに寄りかかって、ニヤニヤしている。
ひよりがニヤニヤする。
目が完全に楽しんでいる。
大智が目を丸くする。
大智が私を見る。
その視線が、妙に真っ直ぐだった。
三人で顔を見合わせる。
食堂のざわめきが、一瞬遠くなった気がした。
大智が黙った。
視線を少し落として、それからまた顔を上げる。
ひよりがまた爆笑する。
机を叩く音が響いた。
ひよりが涙を拭きながら私を見る。
沈黙が落ちた。
でも、気まずい沈黙じゃない。
どこか滑稽で、どこか温かい沈黙だ。
大智が急に口を開いた。
ひよりがまた笑い出す。
もう完全に腹を抱えている。
大智が私を見た。
いつもの犬みたいな笑顔じゃなく、少しだけ真面目な目だった。
ひよりが腹を抱えて笑っている。
ネイルが光って、アクセサリーが揺れる。
私は顔を真っ赤にしながら、大智を見た。
大智も同じように赤くなっている気がした。
食堂中に、私たちの笑い声が響いた。
窓から差し込む光が、テーブルの上でゆっくりと動いている。
この日から。
私と大智の、謎すぎる「好きって言う練習」が始まった。
第3話も読んでくださってありがとうございます!!
今回は新キャラ、牧野ひよりちゃんが登場しました〜!!💖✨
ギャルです。めっちゃギャルです。笑
そしてなんと彼氏持ち!!
あなたちゃんの恋愛相談担当になってもらおうと思ってます😂
恋愛経験者のひよりちゃんに、これからもあなたちゃんがいっぱい振り回され……じゃなくて!いっぱい相談してもらう予定です!!
そして今回、塩﨑さんの『俺が彼氏役やる。』発言が再登場しました🤣
そして今回から始まった「好きって言う練習」。
果たしてあなたちゃんは吉田さんにちゃんと「好き」と言えるようになるのでしょうか!?
次回もぜひ読んでください!!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。