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第12話

ナイスガイの君【sgi】
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2025/12/23 09:38 更新





sgi
今日の実験、上手くいったな





白衣の袖をまくり上げながら、彼がにこりと笑う。


その笑顔に、心が一瞬だけ浮く。


“いいことだらけの今日”なんて言葉が、まるで現実みたいに思えてしまう。




sgi
まぁ、あなたがデータ整理してくれたおかげでもあるけど
あなた
そんな、大袈裟な
sgi
いやいや。俺、ああいう地味な作業ほんと苦手だから





軽い調子で言いながら、彼は自分の髪をくしゃりと掻いた。


蛍光灯の白い光の下、少し乱れた前髪越しに覗く瞳がまっすぐで、

それを見ているだけで、息が詰まりそうになる。





彼は頭も良くて、冷静で、いつも優しい。


そんな彼に惹かれているなんて、きっと誰にも言えない。


だって、彼はあまりにも“完璧”すぎるから。






研究室を出ると、夜の空気がひんやりと頬に触れた。
ふと見上げた空に、流れ星が一つ。


願いごとなんて、子どもの頃みたいで照れくさい。


けれど、思わず心の中で呟いてしまう。






――この気持ち、届きますように。





その瞬間、携帯が震えた。須貝くんからのメッセージ。




sgi
《今空みた!?流れ星!》
あなた
《見たよ!》
sgi
《同じの見てたかもな〜》





短いやりとり。それだけで、心の奥に温かい何かが灯る。


けれど、その温度の中には少しだけ痛みもある。


どんなに近くにいても、まだ“彼の隣”には立てない。


流れ星は、まるで涙のように消えていった。





夜中。


机の上には開きっぱなしのノートパソコン。


画面の右下に、小さな通知音が鳴るたび、胸が跳ねる。


彼からのメールを、知らず知らずのうちに待っている自分がいる。


こんな気持ちになるなんて、思わなかった。恋はもっと、単純なものだと思っていた。


彼のことを考えながら、既読もつかない画面を見つめる。


ただそれだけで、夜が長く感じる。


やがて、ポン、と短い音。




sgi
《まだ起きてる?》
あなた
《起きてるよ》
sgi
《研究の話なんだけど》
sgi
《また明日相談したいことがあって》
あなた
《うん、もちろん》





たったそれだけの言葉。


けれど、たったそれだけで、今日が“特別な日”に変わる。





翌日。


彼は、珍しく疲れた表情をしていた。


目の下に薄い隈ができていて、それでも彼は笑う。




あなた
寝不足?
sgi
まぁ…ちょっと考え事してた
あなた
また研究のこと?





と冗談っぽく聞くと、彼は小さく首を振った。




sgi
…いや、あなたのこと





その瞬間、空気が止まった。




あなた
え、私?
sgi
うん、昨日メールしてて思った。
sgi
俺、なんでこんなに君の返事待ってたんだろうって




彼の声はいつになく低くて、静かで、でも確かな熱を帯びていた。




sgi
俺さ、自分の感情に鈍いと思ってた。
sgi
でも、もう誤魔化せない。
sgi
…多分、君のことが好きなんだと思う





唇が乾く。何か言おうとしても、声が出ない。


彼はそっと距離を詰め、目を逸らすように小さく笑った。




sgi
… ごめん、急にこんなこと言って。
sgi
驚かせた、よね





けれど、その笑みの奥には、確かな“甘い熱”が宿っていた。





それから数日。私たちは、特別な関係になった。


研究室で話すときも、ふとした視線が絡むだけで頬が熱くなる。





sgi
今日も、あなたといると不思議と全部うまくいくな
あなた
いやいや、須貝くんのお陰!
sgi
いや、ほんとに!
sgi
俺がナイスガイならあなたはナイスガールだわ





須貝くんが照れたように笑う。


彼のお決まりのお決まりの挨拶に自分も仲間入りしたようで、少々照れくさい。


彼は完璧じゃない。


時々不器用で、眠そうで、心配になるくらい真面目で。


でも、そんな彼が好きだ。





あなた
ねぇ、須貝くん





名前を呼ぶと、彼は少しだけ驚いたように目を見開き、すぐに柔らかく微笑んだ。




sgi
うん?
あなた
今日、いいことだらけの1日だね





彼の笑顔が、夜空に咲く流れ星のように輝いて見えた。


涙の代わりに、笑い合える幸せ。


メールを待つ時間も、ため息をついた夜も、全部、君に出会うための伏線だったんだ。











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