白衣の袖をまくり上げながら、彼がにこりと笑う。
その笑顔に、心が一瞬だけ浮く。
“いいことだらけの今日”なんて言葉が、まるで現実みたいに思えてしまう。
軽い調子で言いながら、彼は自分の髪をくしゃりと掻いた。
蛍光灯の白い光の下、少し乱れた前髪越しに覗く瞳がまっすぐで、
それを見ているだけで、息が詰まりそうになる。
彼は頭も良くて、冷静で、いつも優しい。
そんな彼に惹かれているなんて、きっと誰にも言えない。
だって、彼はあまりにも“完璧”すぎるから。
研究室を出ると、夜の空気がひんやりと頬に触れた。
ふと見上げた空に、流れ星が一つ。
願いごとなんて、子どもの頃みたいで照れくさい。
けれど、思わず心の中で呟いてしまう。
――この気持ち、届きますように。
その瞬間、携帯が震えた。須貝くんからのメッセージ。
短いやりとり。それだけで、心の奥に温かい何かが灯る。
けれど、その温度の中には少しだけ痛みもある。
どんなに近くにいても、まだ“彼の隣”には立てない。
流れ星は、まるで涙のように消えていった。
夜中。
机の上には開きっぱなしのノートパソコン。
画面の右下に、小さな通知音が鳴るたび、胸が跳ねる。
彼からのメールを、知らず知らずのうちに待っている自分がいる。
こんな気持ちになるなんて、思わなかった。恋はもっと、単純なものだと思っていた。
彼のことを考えながら、既読もつかない画面を見つめる。
ただそれだけで、夜が長く感じる。
やがて、ポン、と短い音。
たったそれだけの言葉。
けれど、たったそれだけで、今日が“特別な日”に変わる。
翌日。
彼は、珍しく疲れた表情をしていた。
目の下に薄い隈ができていて、それでも彼は笑う。
と冗談っぽく聞くと、彼は小さく首を振った。
その瞬間、空気が止まった。
彼の声はいつになく低くて、静かで、でも確かな熱を帯びていた。
唇が乾く。何か言おうとしても、声が出ない。
彼はそっと距離を詰め、目を逸らすように小さく笑った。
けれど、その笑みの奥には、確かな“甘い熱”が宿っていた。
それから数日。私たちは、特別な関係になった。
研究室で話すときも、ふとした視線が絡むだけで頬が熱くなる。
須貝くんが照れたように笑う。
彼のお決まりのお決まりの挨拶に自分も仲間入りしたようで、少々照れくさい。
彼は完璧じゃない。
時々不器用で、眠そうで、心配になるくらい真面目で。
でも、そんな彼が好きだ。
名前を呼ぶと、彼は少しだけ驚いたように目を見開き、すぐに柔らかく微笑んだ。
彼の笑顔が、夜空に咲く流れ星のように輝いて見えた。
涙の代わりに、笑い合える幸せ。
メールを待つ時間も、ため息をついた夜も、全部、君に出会うための伏線だったんだ。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。