人外、軍とくれば……兄弟じゃね?
18 グルッペン
17 トントン
14 シャオロン
13 ゾム
12 ロボロ
15 エーミール
11 チーノ
11 ショッピ
16 鬱
16 コネシマ
10 レパロウ
兄の様子がおかしいな、と思った。
普段から人並み外れた言動をする兄達だったが、ここ数ヶ月は特におかしい。
更にいうと、上二人……チーノ兄さんとショッピ兄さんは去年から性格がかなり変わった。
ある日を堺に。
そして、その二人の変わりようを上の兄たちは気に求めていない様子なんだ。
可笑しいだろう。
弟の性格が急に変わったら、普通病院に連れてったりするだろ?
エミ兄さんや鬱兄さんも、子供にしては言動が大人びている。
そして、兄はそんな出来た弟を褒める素振りもない。
まるで、「当たり前」かのように。
話を戻そう。
本当に、兄たちが過保護気味になっている。
学校に毎日迎えに来たり、対戦ゲームをする度にこちらをチラチラ見てきたり。
元から過保護気味ではあったが、あそこまでではない。
きっかけは……?
……そういえば、誕生日が来週だっけ。
もう一度いうが、数ヶ月前からなんだ。
サプライズなんだとしたら、力入れ過ぎだろう。
あの凶人達の考えてることなんて理解したくない。
早々に諦めて、次の日の準備を始めた。
〜グルッペンの部屋〜
鬱の怒り声が響いた。
朝
「いってきま〜す」
玲兎とは、僕の名前だ。
"レパロウ"は、兄弟間だけで呼ぶのを許された名前。
外で言うことは絶対に許されなかった
兄さんたちにきつく言われ続けたことだ。
トントンやチーノ、大先生もただのあだ名だ。
ここまでは良かったんだ。
今までも社会の授業はしてきたから。
ただ、今日は新しい単元だった。
「悪の戦争国家我々国」
そこからもう変だった。
頭がいたい。
目眩がする。
5年生になって、そんなことが増えた。
特に社会の授業で。
頭に電流が走った。
頭が真っ白になる。
なぜだ?
この国の話を聞いたのは初めてだろう?
何言ってる?初めてな訳……
じゃあどこで?
わからない
知らない
そんな訳ない。あの国は志願兵でできているんだ。
そして、幹部がいつも最前線にいた。
そこらの国より、よっぽど兵士は安全だった。
違う、衣食住が用意されていた。仕事もあった。
無計画に国民を増やすことはしなかった。
そのせいで仕事は大変だったけど。
………え?
なにを言ってるんだ?
仕事?
あるわけ無いだろ?
いや、あったんだ。
何が?
わからない
同盟国といえば、日常国と運営国、白尾国、虹桃国……
は?そんな国聞いたことがない
まだ習ってない
じゃあなんで、思い出せる?
わからない
違う、"あの日"は非戦闘員の幹部も前線に出てた
総統も同様に
だから、なんだ?この記憶は
そんなこと習ってない
でも、鮮明に…
でも、この視点は……
頭が真っ白になる。
違う、そんなひどく言われなきゃいけない国じゃなかった
あぁ、そうか。
家でのあだ名を外で言っちゃいけない理由。
兄さんたちが、お互いに"兄さん"を、つけることがなかった理由。
運動神経が飛び抜けて良い理由。
最近過保護な理由
違う。
それだけが口から出ていく。
そこで、意識が途切れた。
起きると、部屋のベッドだった。
一度叫んだからか、なんとなく落ち着いた気がする。
二人はそうやって耳元に手を近づける。
そうだ。
僕は教室で叫んでしまった。
きっと不審に思われただろう。
きっと、気持ちが悪いだろう。
きっと、きっと___
このあと、みんなにもみくちゃにされた。
謎の終わり。
ちなみにみんなそれぞれ思い出し方は違います。
元から記憶がある人もいれば、突拍子も無く思い出す人。
いじめのストレスから思い出す人。
先生に会って思い出す人。
前世の兄に会って思い出す人などなど。
ちなみに無理やり記憶を引きずり出してはいけません。
"神様"にそう忠告されましたからね。
では皆さん、次の話で会いましょう。
ばいば〜い。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!