第4話

改変された歴史の記憶
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2024/04/30 07:37


人外、軍とくれば……兄弟じゃね?


18 グルッペン
17 トントン
14 シャオロン
13 ゾム
12 ロボロ
15 エーミール
11 チーノ
11 ショッピ
16 鬱
16 コネシマ
10 レパロウ






兄の様子がおかしいな、と思った。



普段から人並み外れた言動をする兄達だったが、ここ数ヶ月は特におかしい。



更にいうと、上二人……チーノ兄さんとショッピ兄さんは去年から性格がかなり変わった。


ある日を堺に。

レパロウ
まるで……別人みたい何だよなぁ


そして、その二人の変わりようを上の兄たちは気に求めていない様子なんだ。

可笑しいだろう。

弟の性格が急に変わったら、普通病院に連れてったりするだろ?
  

エミ兄さんや鬱兄さんも、子供にしては言動が大人びている。
 

そして、兄はそんな出来た弟を褒める素振りもない。


まるで、「当たり前」かのように。




話を戻そう。


本当に、兄たちが過保護気味になっている。



学校に毎日迎えに来たり、対戦ゲームをする度にこちらをチラチラ見てきたり。


元から過保護気味ではあったが、あそこまでではない。

きっかけは……?




……そういえば、誕生日が来週だっけ。


レパロウ
サプライズ……にしては早すぎるか…?


もう一度いうが、数ヶ月前からなんだ。

サプライズなんだとしたら、力入れ過ぎだろう。

レパロウ
………まぁ、兄さんの考えてることなんて、僕にはわかんないか。




あの凶人達の考えてることなんて理解したくない。




早々に諦めて、次の日の準備を始めた。



 



〜グルッペンの部屋〜


鬱先生
グルちゃんたちさぁ………
鬱先生
レパロウのこと見すぎな?!


鬱の怒り声が響いた。

鬱先生
レパロウに感づかれたらどうすんねん!
鬱先生
兄として守るのは良いことやけど……過保護は違うやろ!




ゾム
や、やけど……大先生……
チーノ
可愛い可愛い弟ですよ?!
守らないわけ無いじゃないですか!
シャオロン
そうやぞ!あいつが___か心配やねん!
ロボロ
お前、これでレパロウが俺等のおらんとこでパニックになったらどうするんや!

トントン
守りたいのは分かるけど……過保護が過ぎるわ。
ショッピ
そうっすよ。レパロウのキモチも考えないで突っ切らないでください。
エーミール
流石にもう少し距離を置くべきだと思います
エーミール
まぁ、残り一週間を切ったので………
今から張り付く分には良かったんですけどね

コネシマ
……学校の中やったら、ショッピとチーノに任せとけばええやろ。
コネシマ
他の奴らはもうちょっと距離おいたらええと思うけどな。レパロウも窮屈やと思うわ。


グルッペン
……確かに…少しお前らはレパロウに近づきすぎだ。
グルッペン
だが、今までの例を考えると、一人の時間を増やせば増やすほど危ない。
グルッペン
残り一週間を切ったんだ。今を維持して
___に気をつけるように。







レパロウ
おはよ〜う
鬱先生
あ、レパロウおはよう。
トントン
飯できとるぞ。
レパロウ
兄さんたちありがと〜な。

ショッピ
トントンさん。今日日直なんで先に行ってますね。チーノ。登校はよろしくな。
トントン
了解。いってらっしゃい
チーノ
任せろ〜言ってら〜





レパロウ
チーノ兄さん!準備できましたよ。
チーノ
ん。ほな行こっか。
グルッペンさん、行ってきますね!
グルッペン
あぁ。気をつけるんだゾ。
チーノ
もちろんですって〜



「いってきま〜す」




モブ
あ!玲兎れう君おはよう!
 

玲兎とは、僕の名前だ。


"レパロウ"は、兄弟間だけで呼ぶのを許された名前。

外で言うことは絶対に許されなかった

兄さんたちにきつく言われ続けたことだ。

トントンやチーノ、大先生もただのあだ名だ。

レパロウ
モブ!おはよ〜!
モブ
玲兎〜!社会の教科書忘れたー
貸してくれー
レパロウ
同じクラスのやつに借りようとするその精神に驚くわww
モブ
ちぇー
レパロウ
いじけんなって〜




モブ
お、みんな集まってるな?おはよう。今日は1限定から社会だ。
レパロウ
あ、先生!モブが教科書忘れたって!
モブ
忘れましたぁ〜
モブ
隣のクラスに借りてこい!
モブ
は〜い。
モブ
じゃあ準備できたら始めるからなー










ここまでは良かったんだ。


今までも社会の授業はしてきたから。




ただ、今日は新しい単元だった。





「悪の戦争国家我々国」


モブ
この国は、世界最悪の独裁国家と言われている。
モブ
実力主義の戦争国家だ。
モブ
今日はその国で起きた、非道な戦争を見ていくぞ。


そこからもう変だった。

頭がいたい。



目眩がする。


5年生になって、そんなことが増えた。

特に社会の授業で。 








モブ
まず。総統は「グルッペン・フューラー」
レパロウ
?!


頭に電流が走った。


頭が真っ白になる。


なぜだ?

この国の話を聞いたのは初めてだろう?

何言ってる?初めてな訳……

じゃあどこで?

わからない

知らない


モブ
この国は、片っ端から戦争を仕掛けては国民を使い勝利を勝ち取っていた。


そんな訳ない。あの国は志願兵でできているんだ。

そして、幹部がいつも最前線にいた。


そこらの国より、よっぽど兵士は安全だった。



モブ
総統も幹部も新しく増えた国民を奴隷のように扱って___


違う、衣食住が用意されていた。仕事もあった。


無計画に国民を増やすことはしなかった。



そのせいで仕事は大変だったけど。



………え?


なにを言ってるんだ?


仕事?

あるわけ無いだろ?


いや、あったんだ。

何が?


わからない






モブ
この国の同盟国は彼らに怯えていた___



同盟国といえば、日常国と運営国、白尾国、虹桃国……




は?そんな国聞いたことがない


まだ習ってない


じゃあなんで、思い出せる?



わからない


モブ
結局彼らは最後まで前線に出ることはせず


違う、"あの日"は非戦闘員の幹部も前線に出てた


総統も同様に



だから、なんだ?この記憶は


そんなこと習ってない



でも、鮮明に…



でも、この視点は……


モブ
そして、最後に幹部になった男の名前は






レパロウ
レパロウ!!!
モブ
?!
モブ
玲兎君?いきなり叫んで……とうしたんだい?
レパロウ
ちがう!玲兎じゃない!!
モブ
玲兎君!落ち着いて!
レパロウ
違う!非道じゃない!独裁国家じゃない!!
モブ
玲兎君!
っ誰か!玲兎君のお兄さんを呼んで来て!
モブ
 はい! 
レパロウ
みんな、前線で戦ってたんだ!!


頭が真っ白になる。


違う、そんなひどく言われなきゃいけない国じゃなかった











あぁ、そうか。













家でのあだ名を外で言っちゃいけない理由。





兄さんたちが、お互いに"兄さん"を、つけることがなかった理由。




運動神経が飛び抜けて良い理由。





最近過保護な理由





レパロウ
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


違う。


それだけが口から出ていく。






レパロウ
歴史は全部こんなんなの?!
レパロウ
こんなに改変されたものを知識としてとりいれてたの?!
レパロウ
可笑しいだろ!
レパロウ
グルッペンさんが、いつ独裁国家を敷いた?
レパロウ
日常国は、いつもうちに来てた!
運営国の基地にも行った!
レパロウ
一緒に遊んでた!
レパロウ
徴兵制すらなかった!
志願兵だけで結成されてた!
レパロウ
歴史なんて、学ぶ意味がなかったんだ!!!
ショッピ
レパロウ!!!



そこで、意識が途切れた。





起きると、部屋のベッドだった。

レパロウ
我々国………
レパロウ
レパロウ………


一度叫んだからか、なんとなく落ち着いた気がする。



ショッピ
……あ!レパロウ!起きたんか!
チーノ
ホンマや!起きとる!報告せな!


二人はそうやって耳元に手を近づける。


チーノ
……あ、インカム無いんやった……
 
レパロウ
ふははww
ショッピ
は?!こいつ笑いやがったぞ!
レパロウ
wwだってwwwww
チーノ
はー?おこったからな?!


レパロウ
すいませんって、ショッピさん、チーノさんw
ショッピ
……まぁ、落ち着いたんなら良かったわ。
レパロウ
………あ、


そうだ。

僕は教室で叫んでしまった。



きっと不審に思われただろう。



きっと、気持ちが悪いだろう。


きっと、きっと___








チーノ
レパロウ!ソレはただの憶測や!!

レパロウ
っ!

ショッピ
実際行ってみないとわからないでしょう。

レパロウ
まだ……学校いけますかね……

チーノ
当たり前やろ。そのためにこの学校に俺等は通ってるんやから。
レパロウ
……?
ショッピ
校長と保健室の先生、あと理科の先生と体育の先生。
レパロウ
た、確か……
しんぺい先生と、クラレ先生…あと、軍曹!
チーノ
そ!で、校長は兄さんやし!
レパロウ
え、すごくないですか……
ショッピ
ちな、中学校は虹桃国、高校は運営国と日常国の人たちやぞ。
レパロウ
うわ……中学校に行くのが楽しみです!
ショッピ
まぁ、話はそれだけど、なんていうか……
チーノ
お前が心配せんでも、学校の居場所はあるからな。



ショッピ
ほら、リビングへいきましょう。
チーノ
レパロウが起きるのを今か今かと待ってたんですから。
ショッピ
大先生とトントンさんが抑えてますよ。
レパロウ
…それなら、直ぐいかないといけませんね。
チーノ
やろ?
チーノ
ほら、いこうや。
レパロウ
……はい!





このあと、みんなにもみくちゃにされた。 






謎の終わり。


ちなみにみんなそれぞれ思い出し方は違います。




元から記憶がある人もいれば、突拍子も無く思い出す人。

いじめのストレスから思い出す人。

先生に会って思い出す人。

前世の兄に会って思い出す人などなど。








ちなみに無理やり記憶を引きずり出してはいけません。

"神様"にそう忠告されましたからね。






では皆さん、次の話で会いましょう。




ばいば〜い。



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