私とイブくんはクリスマスマーケットに来ていた。
寒い寒いなんて言っていたけど、こうやって私の
行きたいとこには大体付き合ってくれるんだよな。
一緒に雑貨屋さんに寄ると、イブくんは可愛い
雪だるまのオーナメントを指差しながら、私に
似てるだなんて言う。
じゃあ私もイブくんに似てる子を探そう。
あ、このキリッとした顔のクマさんとか、
ちょっとイブくんぽいんじゃない?
イブくんは私が手に取ったクマのぬいぐるみと
雪だるまのオーナメントを手に取ってお会計する。
可愛らしい赤と緑の縞々模様の紙袋に入れられた
それを片手に持って、空いてる方の手は私の指に
絡めてくる。…こうやって人多いところでは、
私がはぐれないように手を繋いでくれるんだよなあ。
そのまま出店を見ていると、マシュマロの乗った
ホットチョコレートの屋台があった。
うわ、これは…!!
私がキラキラした目でイブくんにおねだりすると、
ハイハイ、なんて笑って買ってくれた。
優しいんだよなあ!
真っ赤なカップには、ぽかぽかのホットチョコに
小さいマシュマロと、1つだけ大きい…サンタさん
の絵が描いてあるマシュマロが乗っていた。
可愛すぎる…!
イブくんはベンチを指差すので、言われた通り
そこに座る。すると、イブくんはスマホを
取り出して私にカメラを向けてくる。どうやら
写真を撮ってくれるらしい。私の後ろには、
存在感のある立派なクリスマスツリーがあって、
どうやらこれと一緒に撮影してくれるらしい。
カメラに向かって嬉しそうな顔をするとイブくんも
ディスプレイを見ながらふふ、なんて笑っていた。
なんだかそれが可愛くて、愛おしい。
ああ、私この人のこと、大好きだなあ。
そう言いながら見せてくれた写真は、確かに
後ろのツリーと私が、いいバランスで映ってる。
これは映えです!と言って私はイブくんの頬を
撫でてあげると、彼は私の手に擦り寄って
柔らかく微笑んだ。
寒くなったので買ってもらったホットチョコを
飲みながら一息。ちょうど近くにストーブも
用意されていて、イブくんと一緒に温まろう。
クリスマスの、この雰囲気………いいよなあ。
食へのこだわりが強い彼の好みでは無かったのか、
渋い顔をしたイブくん。でも私は美味しい〜!と
言いながら飲んでいれば、優しい顔をするのだった。
イブくんはさも当然かのように、 " 来年 " も
一緒にいる未来のお話をするので、少しだけ
照れくさい。私は照れ隠しで、飲んでいた
ホットチョコレートの最後の一口を飲み干すと、
イブくんは私を見て笑った。
イブくんと付き合っていく中で、私の方が
年上だしお姉さんムーブ出そうと頑張っていたけど、
面倒見のいいイブくんはこうやって私の面倒を
よく見てくれている。
だから私も思わず彼に甘えてしまうのだ。
いつもポケットにハンカチを忍ばせている彼は、
私にそのハンカチを差し出してくれるので、
ありがたく借りる。スマホの画面を鏡代わりに
しながら、私は口周りを綺麗にする。
サンタのことをサンタ " さん " と呼ぶ彼が
可愛くて笑ってしまう。こういうたまに出る
年下ムーブが私にはツボなのだ。
一旦休憩もできたのでクリスマスマーケットを
続けて見ることにした私たち。
…にしても、美味しそうな食べ物が多すぎる。
ソーセージやらシチューやらチュロスやら…
私がじいっと屋台のメニューを見ていれば、
「うっわクソ高ェ、」なんて言いながらも、
「食う?」と最終的には聞いてくれる。
「こういうのはこの雰囲気代も含まれてるから!」
と私が力説すると、それはそうなんよな〜と
言いながら、私が好きそうな食べ物を全部
買ってくれる。
つくづく、イブくんも私には甘い。好きだ。
私もイブくんと一緒に飲もうと、ホットワインと
ドイツビールを買ってあげる。ソーセージには
やっぱお酒だー!と、すっかり両手にいっぱいの
飲食物をかかえて、めちゃめちゃクリスマス
マーケットを満喫してるカップルの完成だ。
いつも通りのそんなやり取りが楽しくて、
やっぱりイブくんの隣に居るの、好きだなあ。
たわいもない話をしながら、一緒に買った物を
食べ終える頃には、お酒のおかげでちょっと
ぽわぽわしてきた。ほろ酔い気分な私を見て、
イブくんは眉をハの字にして、
…でもその瞳は優しくて。
真っ赤になった頬は、お酒のせいか、
寒さのせいか、それともーーー。
⟡.* どんなイルミネーションよりも、君が一番輝いて見えた夜 ⟡.*













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!