重く鋭い空気が漂う中、私の頭の中では只々混乱が渦巻いていた。
目の前には続々とヴィランたちが姿を現し、にやにやと気味の悪い笑顔を浮かべながらこちらをじっと見据えている。
心臓がぎゅっと掴まれているみたいに、息がうまくできない。
ツーっと冷や汗が背中を伝う。
自分はもしかしたらここで死ぬかもしれない、その言葉が頭によぎっては離れない。
体が震えて、全身の筋肉が強張っていく感覚がする。
そんな考えを断ち切ったのは、震えて今にも泣きそうな声だった。
その声はなによりも私の心を明るくしてくれる一言で、いつの間にか体の震えは止まっていた。
私は、微かに振動する耳郎ちゃんの手を優しく包み込む。
すると、震えはぴたりと止まり、ぎゅっと私の手を握り返した。
先日の、というのが何かはわからないが、雄英に手を出したのはこれが初めてではない、ということだ。
邪悪な雰囲気を身に纏う彼らからは、立っているだけでも怯んでしまうような恐怖を感じる。
殺される。それだけで脳が埋め尽くされるくらいに。
まるで当たり前かのように発された言葉に、私は思わず後退りしてしまった。
周りからはヒッ、と息を呑む声が聞こえる。
確かに聞こえた言葉。それはヴィランはオールマイトを狙っているのかと思わせる一言だった。
その言葉を聞いて浮かぶのは、一体、なんのために、とだけ。
ヴィランの数は私たちの倍以上。
学生ヒーローとしてまだまだ未熟な私たちでは相手はできない。
ましてや相手がオールマイトを狙ってるとなれば、相手はそれほどの手数や実力があるということになる。
どんどん空気がずんと重くなって、その場に拘束されているみたいに動けなくなる。
怖い、逃げたい、死にたくない!
そんな言葉が脳を行き来しては、必死に腹の奥底へと押し込む。
口に出せば、みんなが不安になる。
そうわかっていても、気を抜けば口からこぼれていきそうだった。
そんな言葉を言っては、先生はヴィランの波に突っ込んでいった。
先生の背中はとても大きく、頼もしく見えた。
しかし、その中でもやはり希望を打ち消す言葉はいくらでも頭の中に浮かんでくるわけで。
私はそんな言葉を殺すように、自分の腕にぐっと爪を立てた。
大丈夫、先生なら。
まるで毒のように、その言葉を身体中に巡り巡らせた。
そう考えていれば、虚しく残酷な未来の可能性なんて、1ミリも感じないでいれる。
顔を上げれば、先生の指示通り、学校への連絡を試している上鳴さんがいた。
ポン、と私の背中をやさしく叩いたかと思うと、少し強張った声で言った。
けれど、その言葉だけは明確に、堂々と発した。
そう言うと、上鳴さんはぎこちなく、カタカタと震えながらも、にっと笑った。
そうだ。じろちゃんも、上鳴さんも、逃げ出したくなるくらい怖い思いをしてる。
私1人がブツブツと小言を言ってもなにも状況なんて変わらない。
ふーっと深呼吸をして、息を整える。
学校へ行けば、助けを呼べる。
先生がヴィランと交戦してくれているため、敵がこっちに来ることは——
どうやら涙彩、まだフラグを回収させない系の進行はまだ難しかったようです。
とほほと涙を流す私の目の前に現れたのは、黒い霧を纏ったヴィラン。
黒く気体のような体に見える黄色い目は、鋭く私たちを捉えた。
まるで、鈍器で頭を殴られたようなみたいだった。
これまでの不安、絶望、焦りが一気に溢れ出して淀んでいく。
平和の象徴、オールマイト。
世界の希望を乗せたその人物を、殺す。
その発言は想像していたよりもはるかに重く、心を灰色に曇らせていった。
その瞬間、誰かがその黒に飛び込んでいくのが見えた。
切島さんと爆豪くんだ。
やはり、実体がないのか攻撃は通らない。
目の前が霧に包まれ、一瞬で視界が黒に侵食されてしまった。
かと思えば、ふわっと体が浮いて体が吸い込まれていく。
どんどん地面と手は離れていき、最後に伸ばした手も霧に吸い込まれていった。
更新ほんとにすいませんでしたぁぁ!
予定があったのが2割、続きを考える力がなかったのが8割です。
ほんとに申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!!
多分、次の更新も何ヶ月か時を超えてやってくると思いますが、
首を長くしてお待ちいただけると幸いです…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。