山崎 厳正は両腕を切り落とし、回転することで半径100m圏内に自身の血を撒き散らす。すると周囲に、秘密裏に山崎 厳正がアメリカと共同開発していた超電磁砲が、私の方向を向いた状態で現れた。その数は20台以上だろうか。一度では数え切れないほどの数であった。しかも、超電磁砲と超電磁砲の間からは機関銃が大量に置かれていた。
世界の誤認識を利用して地獄の包囲網から既に脱出していた山崎 厳正は、空中に大量の銃を生成した状態で私を狙っていた。それは私にも見えるくらいの高さ、広さで展開しており、総力を挙げて私を殺そうとしているのだと一目見ただけでわかる。
一斉に放たれた超電磁砲は連射式であり、マッハ8に及ぶ速度の弾丸が四方八方から同時に飛んでくる。それと同時に音速を超える速度で飛んでくる弾丸が横殴りの雨のように注いでくる。
陥穽なる裏切でそれらをひとつも逃さず受け流し、斬り落とし、跳ね返す。雨のように弾丸が降り注ぐ間に、跳ね返せる弾丸を全て跳ね返して超電磁砲と機関銃を破壊しようと試みる。
弾丸が無くなるまでの時間、弾丸が降り注ぐ時間はおよそ30秒。それまで陥穽なる裏切を続けさせる必要があった。私は過去に、何回かに分けて連続使用はしたことがあるものの、1回で数十秒も続けて使用することは1度もなかった。そのため、体が技に追いつかなかった。
世界に誤認識をさせる場合、相応の対価が必要となる。それは体への負担。移動に使うのであれば足に、剣を振ることに使うのであれば腕に、それぞれ負担がかかる。鬼であれば瞬間的に再生できるため惜しみなく使用できるのだが、改造された人間は鬼ほど速く再生ができないため、戦闘において対価を支払うのは致命的だった。そして、その対価を私は初めて知った。
腕が切れたことを山崎 厳正は知るや否や歯茎を見せ、私に更なる追撃を始めた。山崎 厳正は更に血を撒き散らし、機関銃を私の周りに生成した。機関銃は見事なことに私に向いており、ちぎれた腕を取るのは不可能な程だった。
どれだけ体の限界を越えようとしても、越えることができない。既に体は限界を迎えており、これ以上負荷をかけると体の筋組織が崩壊を始める。唯一残された選択肢は、私は行いたくない方法だった。けど、それを使わないと厳正には勝てない。殺される。
吹き飛んだ腕のことは気にせず、今のこの状況から抜け出そうと腕とは逆方向に舵を切り、足に力を込めて全力で走った。機関銃が目の前にあろうが、体の一部が吹き飛ばされようが関係なく走る。ソニックブームを生み出しながら包囲網から抜け出した私は、体にかかる負荷が減っていることを確認して世界に対する誤認識を行った。
誤認識が行われた後の私は腕の方向に走っているようになっており、私の目の前には切断された腕があった。手にはしっかりと日輪刀を持っており、その腕を左手で持ってくっつける。
重要なのは日輪刀を持つことじゃない。世界に対する誤認識を負荷無しで行えること。厳正は鬼ならば負荷が限りなくない状況で誤認識を行えるということ。私は日輪刀についていた血を、私の左腕に傷をつけた状態でその上からつけた。
厳正はそんな私を見て悟ったような言葉を放ち、対要塞用の高火力の砲台を何個も生成して、照準を私に合わせる。
日輪刀についていた血は全て厳正のもの。つまり鬼の血である。それを傷口につけるということは、無惨が人を鬼にしている時と同じようなこと。そのような危険な行為の反動が今、私を襲った。左手から何かが侵食していくような感触があり、それが体全体へと広がっていく。その速度は凄まじいものであり、数秒経つと私の体は鬼の血に蝕まれていた。
身体中に激痛が走る。痛い。痛い。苦しい。辛い。痛い。苦しい。痛い。辛い。辛い。痛い。痛い。痛い。苦しい。痛い。痛い。辛い。辛い。辛い。痛い。辛い。苦しい。苦しい。辛い。辛い。痛い。辛い。苦しい。
あなたは意識を手放して倒れた。厳正はそんなあなたを見て何の感情も抱かずに、ただただ無心で殺す準備を始める。大量の重火器をあなたの周りに生成し、自身も銃と剣を持って構える。
厳正は剣を振り下ろして、心臓ごと胴体を真っ二つにした。厳正は斬ったことをしっかりと確認すると、振り返ってその場を去った。
厳正は改めてあなたの方を向く。すると、そこには斬ったはずのあなたの姿がない。
厳正はすぐに周囲を確認する。すると、元々厳正が向いていた方向に誰かがいた。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。