『報告書を作成してほしいんです』
深澤「報告書…なんのでしょうか」
『8年前、1人の女子高校生が電車に轢かれて』
『死亡した轢死事件』
『その真の犯人と、犯人の動機について』
『まとめてくれませんか』
深澤「はい…承知しました、」
深澤「…あの、チーフっていうのは?」
『警護チーフ、昇格です』
深澤「…ありがとう、ございます…」
深澤「いや、なんで俺が…」
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「目黒くん」
目黒「はい」
「上層部に興味はないか?」
目黒「…上層部、ですか」
「今回の件で上層部の人が足りてないんだ」
「今の目黒くんだったら力になれると思う」
目黒「副総監…じゃなくて、長官」
目黒「すみません、…俺には務まらないことと思います」
目黒「昇格のお誘いは大変有り難いんですが」
目黒「今の場所で精一杯頑張りたいです」
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『ぅ……っ、…』
『…あ…』
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岩本「人事の異動でかなり影響出てるでしょ」
阿部「体制変わったけど慣れるのがねぇ…」
岩本「上層部人足りないし、なんかなぁ…」
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向井「辞めることにした」
目黒「…辞める?なにを?」
向井「仕事」
向井「…なんやとぼけた顔して」
目黒「ぇ…うん、辞める…?」
向井「しょぴの件から、重くなってしもうて」
向井「新体制で始まる前に辞めたほうがええかなって」
目黒「…そっか」
目黒「これからは?何になるの?」
向井「まずはお嫁さん見つけなアカンなぁ、笑」
向井「その次が子供や」
目黒「いや…うん、パパ仕事しないと笑」
向井「パパは…」
向井「…普通の仕事やな」
向井「定時で帰れて、おかえりって言われる…」
向井「きっと、国守るより難しいな」
向井「…んま、俺が安全に暮らせるように」
向井「頑張って日本守ってや、めめ!」
目黒「分かった」
目黒「頑張れよ」
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私はずっと、利用されてきた。
8年前、妹が電車に轢かれて亡くなったとき、
警察は殺人として処理しなかった。
多分、そのとき、しばらく笑えなくなったから
だから、わざと大嫌いな警察に飛び込んで、
私と同じような人たちを音楽で笑顔にしたいと思った。
それからすぐ、公安にスカウトされた
ほぼ強制的に、公安に入らざるを得なかった私は、
科学異件4課という…裏で落ちこぼれと呼ばれる部署に入り
事件を解決してきた。
そのときから既に、私は長官に抗えず支配され、
ものすごい重圧をかけられていた。
それもそのはず、
妹の背中を押したのは、妹を虐めていた同級生ではなく、
長官の娘だと最初から分かっていたから。
だから、その事実を知ってしまった私を、
逃さないために公安にスカウトし、利用してきた
それから統括管理官という重役を任され、
ますます私は闇から逃げれなくなっていた。
だけど、長官が死んだ
最初にして、最後の相手である、長官が死んだ
この日から…胸がすくような思いと、謝罪がない怒りと、
たくさんの未練が浮かび上がってきて、
勝手に死んだ長官を、更に許せなくなった。
『ねぇ…聞いてほしいことがあるの』
目黒「うん、どうした?」
『…赤ちゃん、来てくれた』
目黒「え…ほんと、…うわ…嬉しい」
目黒「体調は…大丈夫?」
『うん』
だから、ごめん。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!