前の話
一覧へ
次の話

第58話

File58≠だから、
284
2026/03/09 07:11 更新









『報告書を作成してほしいんです』



深澤「報告書…なんのでしょうか」

『8年前、1人の女子高校生が電車に轢かれて』

『死亡した轢死事件』

『その真の犯人と、犯人の動機について』

『まとめてくれませんか』

深澤「はい…承知しました、」

深澤「…あの、チーフっていうのは?」

『警護チーフ、昇格です』

深澤「…ありがとう、ございます…」

深澤「いや、なんで俺が…」













「目黒くん」

目黒「はい」

「上層部に興味はないか?」

目黒「…上層部、ですか」

「今回の件で上層部の人が足りてないんだ」

「今の目黒くんだったら力になれると思う」

目黒「副総監…じゃなくて、長官」

目黒「すみません、…俺には務まらないことと思います」

目黒「昇格のお誘いは大変有り難いんですが」

目黒「今の場所で精一杯頑張りたいです」










『ぅ……っ、…』

『…あ…』













岩本「人事の異動でかなり影響出てるでしょ」

阿部「体制変わったけど慣れるのがねぇ…」

岩本「上層部人足りないし、なんかなぁ…」










向井「辞めることにした」

目黒「…辞める?なにを?」

向井「仕事」

向井「…なんやとぼけた顔して」

目黒「ぇ…うん、辞める…?」

向井「しょぴの件から、重くなってしもうて」

向井「新体制で始まる前に辞めたほうがええかなって」

目黒「…そっか」

目黒「これからは?何になるの?」

向井「まずはお嫁さん見つけなアカンなぁ、笑」

向井「その次が子供や」

目黒「いや…うん、パパ仕事しないと笑」

向井「パパは…」

向井「…普通の仕事やな」

向井「定時で帰れて、おかえりって言われる…」

向井「きっと、国守るより難しいな」

向井「…んま、俺が安全に暮らせるように」

向井「頑張って日本守ってや、めめ!」

目黒「分かった」

目黒「頑張れよ」













私はずっと、利用されてきた。



8年前、妹が電車に轢かれて亡くなったとき、

警察は殺人として処理しなかった。


多分、そのとき、しばらく笑えなくなったから


だから、わざと大嫌いな警察に飛び込んで、
私と同じような人たちを音楽で笑顔にしたいと思った。


それからすぐ、公安にスカウトされた


ほぼ強制的に、公安に入らざるを得なかった私は、

科学異件4課という…裏で落ちこぼれと呼ばれる部署に入り


事件を解決してきた。


そのときから既に、私は長官に抗えず支配され、

ものすごい重圧をかけられていた。


それもそのはず、

妹の背中を押したのは、妹を虐めていた同級生ではなく、
長官の娘だと最初から分かっていたから。


だから、その事実を知ってしまった私を、

逃さないために公安にスカウトし、利用してきた

それから統括管理官という重役を任され、

ますます私は闇から逃げれなくなっていた。



だけど、長官が死んだ



最初にして、最後の相手である、長官が死んだ


この日から…胸がすくような思いと、謝罪がない怒りと、

たくさんの未練が浮かび上がってきて、


勝手に死んだ長官を、更に許せなくなった。




『ねぇ…聞いてほしいことがあるの』

目黒「うん、どうした?」

『…赤ちゃん、来てくれた』

目黒「え…ほんと、…うわ…嬉しい」

目黒「体調は…大丈夫?」

『うん』




だから、ごめん。




プリ小説オーディオドラマ