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第11話

流れ行く時間
2
2026/02/24 22:00 更新
牡丹
牡丹
……え、雪。もう15歳なんですか?12歳だったのに?
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
もー、いつの話してるの?それは3年前だよ!
「いつの話」、「3年前」。そのワードを聞くと私と雪との違いをありありと見せつけられているのだと錯覚してしまいます。そう、違う。それは分かっているのですが…どうしても嫌なのは確かです。それに15歳だと言う事はつまり…人間の女性がより花嫁修業…?とやらに精を出すのだと聞きました。実際、雪も「面倒だけどやんなきゃねー」と言っているのを思い出します。そう、つまりは…彼女もいつか嫁入りを果たすということです。それは人間の女性である以上しょうがない事なのだと言うことは理解しています。しかし、それでも私は…本当は理解したくないのです。そして、私は嫌だ嫌だというように問題を先延ばしに先延ばしにして行ってしまいました。そして、その日はついにやってきてしまっているのです。
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
私、お見合い相手が出来た、かも。もしかしたら遊ぶの難しくなっちゃうかもで…ごめん!
牡丹
牡丹
いえ、それは本当に仕方がないですよ!大丈夫です、また遊びましょうね
私は申し訳なさそうにする雪に明るく言いながら励ますように声をかけます。その声に安心したように雪は頬を緩めて「ありがとう、牡丹」とにこにこ笑いました。……そう、これが私の幸せなのです。例え、彼女が嫁入りしたのだとしても私がまだ彼女と共にあれば…少なくなっても多少は一緒に遊べれば…それだけで私は満足な筈です。本当はもっと一緒に居たい、遊びたい…出来れば私だけのものに。などと言う私の全て本心は蓋をして笑顔を貼り付けます。そう、彼女を幸せにするのは私なんかではないのですから。
牡丹
牡丹
(それは…同じ種族である人間がしてくれるはずです。私の仕事なんかじゃない…)
私では、彼女を幸せになんてできるはずがありません。それに…どうしても私は置いていかれたくありませんでした。今でも私はなにも変わりません。しかし、人間である雪は違います。寿命があり、いつか必ず死んでしまう。それが私は耐えられないのです。そう、私は臆病で弱虫。そんな私が彼女を幸せにできる保証なんてどこにもありません。噂に聞きましたし…この目で見ましたが、雪の婚約者はとても優しい青年でした。
牡丹
牡丹
……この気持ちは捨て去らなければなりません
苦しいのは私だけ。置いていかれるのは私…それで傷つきたくない癖に雪を欲する自分を律せねばなりません。そう、雪の子孫と関わり続ける…それでいいじゃないですか。しかし、それでは物足りないのだと言う私の本能の醜さに嫌悪してしまいます
牡丹
牡丹
本当にどうすればいいのでしょうか
そう呟いてもその声には誰も反応してくれませんでした

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