私が食堂に入ると、既にみんな集まっていたようだった。
カレシ……?
誰が……?
右にいるのはカルマだけど……。
赤髪……こいつのことよね??
メグは許す!
かおり先輩が申し訳なさそうに頭を軽く下げる。
先輩が後輩に頭下げる絵面ってやばくない??
お、珍しく味方してくれるのか!
さすがのカルマも私とカップルにされるのは嫌だよな。うんうん。
自分で言っててちょっと傷つくけど。
視界の隅には、笑いを堪えきれなくなったのか、磯貝、メグ、宮下さんが吹き出している。
なぜに宮下さんまで。
こいつ殴ったろか。
顔面に型つけてやる。
先輩方もニヤニヤしないでくださいよ!!
助け船が……!!
よかった……これでなんとか
カエデが何かを思いついたのか、カルマの方を向いてとんでもない一言を放った。
ちょっとまじで殴ろうと思います。
そしてメグと磯貝は助けろよ!!
メグに関しては『凛として説教』でしょ!?
カルマに説教するべき!!!!
イライラしながらカルマの方を向くと、カルマの顔がとても近くにあった。
『これはやばい』
私の本能がそう言っている。
思わず右手の拳を強く握ってカルマの方向に突き出した。
その拳は、ちょうどよくカルマのみぞおちにヒット。
……あの後何をされるのか考えたら、急に心臓が跳ね上がった。
カルマと目を合わせないようにそっぽを向いた。
何故か心臓うるさいんだけど、
最後は少し声のトーンが下がっちゃった気もするけど気にしない気にしない。
時間が少しつぶれたじゃんか。
場の空気を少しでも和ませようと、にっこり笑ってそう言い放つ。
……あれ?
え、なぜ声が震えてるんだ。
そしてなぜ宮下さんの後ろに隠れるのだ。
え?
私泣きますよ?
私以外に聞こえないように、先輩はコソッと耳打ちをした。
さっきからドクドク跳ね上がっている心臓は、この言葉によってさらに速くなった。
そのとき外でカルマが顔を真っ赤にさせてそれを聞いていたことを、私は知らなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。