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第5話

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2025/03/12 07:10 更新



いつも通りの、少し苦手な朝。

だって、やること多いし。

唸りながら身体を捻って、横向きに転がる。
起きたらゲームのデイリーこなしてからご飯食べて、風呂入って歯磨いて服着て……


学校に行く準備に、こんなに時間がかかるなんて。

…ま、」


声が聞こえる、同年代くらいの女の人の声。


…さま、誠士郎様。」


あなた .
誠士郎様、朝です。
ご起床のお時間ですよ。

そうだった


俺ん家(寮)、メイドさんが来たんだった。


あなた .
誠士郎様、昨夜は無事にご就寝できましたか?
凪 .
まー、普通に寝れたと思うけど…
あなた .
…それなら、良いのですが…

あなたさんはまだ少し心配そうだ。
まぁ俺はその傍らであなたさん作の朝ごはん食べてるんだけど

凪 .
…昨日のあれ、どういうこと?
あなた .
…一から説明するのは時間がかかりますが…よろしいでしょうか。
凪 .
いいよ全然、まだ時間あるし。
喋りながらデジタル時計を見ても、まだ急ぐような時間じゃない。

あなた .
……結論から申し上げますと、
誠士郎様。貴方は



あなたさんの口から飛び出た言葉は、やはり漫画やアニメでしか聞かないようなものだった。


あなた .
マフィアグループ「アティナ」の
ボス候補なのです。

凪 .
は?
あなた .
理解できないと思いますが、一応話しておきますと……

先月、「アティナ」の先代ボスが病によって亡くなりました。
死に間際、「俺に代われるのは凪誠士郎だけだ」と口にして。

生前から彼は、貴方のことをよく知っていると口にしており、大変気にかけておられました…

貴方は「アティナ」の次世代ボスに選ばれたのです。

話が突飛過ぎるし現実味が無さすぎて理解が追いつかない。
マフィア?ボス候補?

ただの一般人の俺が?

凪 .
訳が分からん、人違いとかそういう話じゃないよね 
人違いだとしても見過ごせない話だけど
あなた .
人違いではありませんよ、そういう事態に陥らない為の「派遣サービス」ですから。
凪 .
え、何「選ばれた人にしかこのサービスは利用できない」的なやつ?
あなた .
まさにその通りでございます。
あなた .
そもそも、あのサービスは私の組織の表向きの営業でして。
…まぁ、私はいわゆる「用心棒」の仕事を、本来はこなしております。
凪 .
「護衛」ってことか、
あなた .
はい、普段は代金さえ払って頂ければ、どんな方でもどんな方からも守る。
そんな仕事なのですが…

あなた .
「本当に護衛が必要である人物」

例えば、この世界の存続に重要である人や、巨大組織のトップが次世代ボスに指名した人など…

そんな人は、誠士郎様のように「普通の生活」を送っていることがあります。
あなた .
そんな方の目に止まるように展開されている営業、それが「派遣 メイドサービス」なのです。
あなた .
分かりやすく「護衛しに来た」だなんて押しかけるのは不用心ですし、誰が敵で誰が味方が分かりませんから。
こちら側の素性がバレる危険もありますし。

凪 .
……

まぁつまり
あなたさんは「超重要人物」を守る人で。
俺がその「超重要人物」だから、狙われないように護衛しに来た


みたいな?

凪 .
やばい話だね。
あなた .
そう仰る割には、とても落ち着いていらっしゃいますね。
凪 .
全然実感湧かないんだよね、突飛すぎて。
あなた .
まぁ…信じられないものですよね…
そのうち嫌でも気付かされると思いますよ。



少し緩んだ気がしたあなたさんの表情が、また険しくなった。
あなた .
周囲の警戒を怠らないでください。
あなた .
昨夜の襲撃は、間違いなく誠士郎様を狙ったものでした。
その証拠に、アイツらは確実に誠士郎様への射撃をしていた。
長距離専用のスナイパーライフルを使って。
凪 .
(…そーいやそうだったな、)
あなた .
「アティナ」は膨大な資金と権力を保有している巨大組織です。
そのトップが現在いない状況、そしてまだ未熟な次世代のボスは一般人に紛れて生活している。

こんな好機を逃す能無しのゴミは、あの世界で生きていけません。
凪 .
あなたさん、結構言うね
あなた .
ですので誠士郎様、私が影からサポート致します。
本日は十分、ご友人のことも信用しないおつもりで…
凪 .
あ、大丈夫。俺友達いないから。



物悲しい沈黙が流れる。

あなた .
…申し訳ありませんでした、今すぐにでも自害を
凪 .
いいいいいい、いいから。
そんなにコンプレックスにも思ってないし


そんなこんなで、もうそろそろ部屋出なきゃ。
凪 .
じゃあ行ってくる、帰るまではあなたさんもゆっくりしててよ。
あなた .
…はい、お気遣い感謝致します。
凪 .
ん、じゃあ。
あなた .
誠士郎様!

初めて聞いた、あなたさんの声に思わず振り返った。


あなた .
行ってらっしゃいませ、どうぞご無事で。


綺麗なお辞儀姿に手を振り、俺は学校へと歩いた。





NO side

頭を上げた少女は、素早い手付きでポケットからスマートフォンを取り出し、番号を打ち込んで耳に押し当てた。

あなた .
もしもしあなたの名字です…あぁ、貴方ですか。まぁいいです。
せい……ご主人様に状況を説明したことを報告します。

あなた .
…昨日の襲撃からどう言い逃れしろというのですかパワハラかテメェ脳天に風穴開けんぞ。


あなた .
…また近いうちにそちらに伺いますので、その件はその時に。
本題に入ります。

あなた .
ご主人様を、一番近い場所で護衛させて下さい。


あなた .
ふざけてねぇわ。おい笑ってんじゃねぇぞ。

お前自分の立場わかってんだろうな、特別に生かしておいてやってんだからな?んな事も理解できねぇ様な低能なんざウチにはいらねぇんだ。だいたい来た当日に奇襲とかそっちで防げなかったのかよおいこら返事しろ

…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ

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