部屋に響くのは、誰かの血が滴る水音と「あ……ああ………」とブツブツ独り言のように呟く私のこもり声だった。
ああ、神様。
なぜ……なぜこんな仕打ちを私にするというのですか。私はただ愛されたかっただけだと言うのに。
そもそもは私の犯した“不倫”という罪が原因だと言うのは十分に理解してはいるけれど、だからと言ってこんな結末……残酷過ぎやしないですか?
嫌だ……嫌だよ。
何で何で何で。なんで、こんな………。
光の事も慧くんの事も大好きだった。
2人とも優しいし、いつだって何だかんだ言って私の事を一番に思ってくれたし、なにより私をずっと変わらず愛してくれた。
……それなのに私は。
これが例の“因果応報”というやつなのだろうか。落胆する私に、目の前に仁王立ちする“彼”が告げた。
“彼”の背後に横たわる血塗れの“アナタ”が目に入り、私の両目からは大量の涙がぼろぼろと滝のように溢れ出した。
なぜ……なぜこうなってしまったの。
本当に、こんなはずじゃなかったのに。
家中に私のキンキンと耳に響く泣き叫ぶ声が響き渡った。後悔と悲しみの念に溺れた私はそれから一晩中泣き腫らしていた。
涙が枯れるまでずっと、“彼”は私の身体を摩ってくれていた。
………後で知った事だが、紫陽花の花言葉は
『不倫(浮気)』
というのもあるらしい。
ーfinー












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。