その日の帰り道、祐菜は頭を下げてる。
「祐菜の所為じゃないよ。」
笑顔の“大丈夫じゃない”が相当だったらしく、顔を上げてもらえない。
「言い訳になるけど、 と男子2人が盛り上がっちゃって…。私の声3人には届かなかったんだよね。」
間違いなく嫌がらせにしか思えない。公開処刑でもしたいのかな。
「祐菜?」
私たちが歩く前の方から聞いたことのあるような、ないような声が聞こえてきた。
「祐菜じゃん!あれ、あなたちゃんも!!」
「あ、久しぶり、です。」
祐菜のお兄さんだった。
「いやぁ、驚いたよ。こんな遅い時間に下校??」
「私が文化祭の実行委員になったから、今日は集まりがあって終わるまで2人が待っててくれたの。」
「おっ、またあの文化祭やるのかあ。あ、お楽しみにしていたいから、出し物は何やるのか言わないでね。俺たち、今年も学校全体で行くらしいからな。」
“じゃあな”と足速に祐菜のお兄さんは友達の方へ駆けて行った。
「え、お兄、学校全体で来るって……?」
祐菜が青い顔をして立ち止まる。
「お兄さんって、学校どこだっけ。」
普通こういうことってあまり聞いてはいけないことだと思うけど、祐菜のお兄さんなら許される気がした。
「『夢ノ咲学院』」
歩き始めた祐菜がぼそっとつぶやく。
どこかで聞いたことがある響き。
「えぇ?!あそこ?!」
茜は驚いているけど、そんなもんなのかな。
「それ、どんな学校…?」
前を歩く2人が同時に振り返り見開いた目を私に向ける。
「「アイドルだよ!!」」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。