隣の席のいるまくんは、イケメンだけど少し無愛想。
顔も怖いから他の女の子たちからは怖がられることも多いけど……
知らんけど
それに私は知っている。
いるまくん実は、こんな見た目してくまさんが大好きだってこと。
ゲーセンで一生懸命取ろうとしているのを私はこないだ見てしまった。
いるまくんは目を合わせてくれないけど、私は一人でぺらぺら喋り続ける。
最初は私も、話しかけてもほとんど反応してくれないから怖い人なのかなとか思ってたけど
彼が可愛いものが好きだって知ってから、いるまくんのこともっと知りたいと思ってしまい、
何かあればすぐ話しかけるようになった。
単純な興味です。
なぜか、普段だったら見向きもしないいるまくんが、私をじっと見つめてきて、きょとんとする。
聞いてみると、いるまくんは、いや……と言葉をにごらせ、ふいっと視線をそらした。
そして。
そう、ボソッと一言。
思わず、ぐいっといるまくんに顔を近づける。
近距離で目が合ったいるまくんは、驚いたように目を見開く。
もしや、私に興味を持ってくれたり……?
……鼻がいいだけか。
まぁそうだよね、と思い、顔を離す。
いるまくんはそう言ったきり、また黙ってしまった。
けど、いつもより会話できたのでは…!?!?!?
これから毎日香水変えてこよっかな。
茶化すように言った言葉は、無視された。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。