第7話

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2025/08/17 12:30 更新




私の体調も万全になって、
あのDA医療センターから退院した日のことである。

寮まで送ると申し出てくれた兄と歩いていた最中、
私はふと思い出した。



あなた
お兄ちゃんって、
確かオブスキュアリなんだよね?
あなた
どんなところ?
私、行ってみたいな。


私が隣で歩く兄にそう問いかけると、
兄は一瞬固まってから、ゆっくりと顔を背ける。


観月 累
…………
あなた
え、何その反応怖い…
観月 累
………………
観月 累
……
観月 累
………それよりあなたは
はくっちのとこでしょ〜〜?
そっちの話聞きたいな、お兄ちゃん。
あなた
何今の間!!
しかもあからさまに話逸らすじゃん!!


何この反応、怖。

そう思って兄の方を見つめると、
兄の顔から冷や汗が垂れた。


あなた
……
あなた
私、お兄ちゃんに隠し事されて
悲しい泣いちゃう………


…… 駄目か。

無視を続けるお兄ちゃんの反応に
軽く落ち込む。

私にそこまで話したくない理由なんて、
一体何があるのだろうか。
兄がどうしても話したくないと言うならば、
別にそれは聞かないけれど。

あなた
オブスキュアリ、
私が行っちゃ駄目なの?
観月 累
…………… いや、えっとね、


埒が明かない。

私が顔を背け続ける兄の手に触れると、
一瞬兄の肩が跳ねた。


あなた
私に言えない理由?


兄がこうして人と触れるのは、
もしかしたら数年ぶりになるのだろうか。

私がぎゅっと兄の手を握ると、
兄は弱々しくそれを握り返した。

観月 累
……… あそこは、
あなた
うん。



観月 累
あそこは、あなたの教育に悪い………!
あなた
は?





かくして、やってきましたオブスキュアリ。


  「教育に悪い」なんて
よく分からない言葉を宣った兄の反対を押し切り、
オブスキュアリへと足を踏み入れる。

あなた
わ…

中は少し薄暗くも、雰囲気のあるバーのようだ。
私がお洒落な内装に気を取られていると、
兄から遠慮がちに手を掴まれた。

観月 累
お願い帰って。
お兄ちゃんの一生のお願い。
あなた
お兄ちゃん、小学生の頃
私にアイス買ってきてって頼んだ時
それ使ったよね?
観月 累
何で覚えてるのそんなこと……

どうにも兄は一刻も早く私に帰って欲しいようだ。
それはまるで、誰かが来るのを恐れているような____






__
_______ あれ、累くん。客人かい?




兄に手を掴まれながら会話をしていると、
奥から足音と共に声が聞こえた。
  如何にも大人、というか。
余裕が声の節々から感じられるような、
甘く低い声だった。



私が顔を横に向けると、_____そこには、
兄にも劣らない整った顔立ちの男性が立っている。





あなた
…………… もしかして、


__貴方が兄の言っていた「教育に悪い」原因ですか?

そう声に出しかけて、
あまりにも失礼すぎると言葉を飲み込む。


兄は「最悪」と小さく呟いて頭を抱えた。
どうやらやっぱり、
兄が私を来させようとしなかった原因は彼らしい。

__
_________ おや、


妖美な雰囲気を纏った男性は、
私と兄が手を触れている所を目に映し
一瞬驚いたように目を丸くした。

観月 累
……… なんで今日に限って起きてくんの。
__
そう怒らないでよ、累くん。
なんとなく目が覚めたんだ。___おかげで、
いいものを見れたみたいだしね。


男性は兄と軽く談笑(一方的)をしたあと、
その吸い込まれそうな目線を私にやる。

吟味するようなその目線に、
心臓が縮こまるような感覚がした。



エドワード・ハート
___エドワード・ハート。俺の名前だ。
エドワード・ハート
よろしくね_____死神の妹さん。

あなた
………え、なにその不名誉な肩書き。



これが、彼____兄の友人(多分)の吸血鬼と、
私が邂逅を果たした瞬間であった。

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