ー紋躯町、カフェ内ー
side誠
まさか、ナイトアウルの星喰左手の視察を事務次長と共に行え、という指示が降りるとは。想定外だ。
指定されたカフェに入ると、案の定、紅の着物姿の彼女はすぐに見つかり、僕は彼女の促すままに席についた。
少し顔色の悪い彼女を見れば、あまり寝れてないのがわかる。濃い化粧で隠しているつもりだろうか。
しばらくすると、彼女は少し緊張したように聞いた。
いきなり、そんなことを聞かれた。
なんのことだろうか。確か最近輝が事務次長と休日に会ったと話していたが。
気まずいですね。どうしようか…
すっかり日の落ちた紋躯町に、真っ赤な着物を着た女性を連れて一緒に仕事をする日が来ただなんて。
律儀で真面目な父が聞いたら、なんと言ったのやら。
side no
開始数十分
二人は、まだ左手に会えてすらいなかった。
希は真夜中の一時を指す時計を見て、告げた。
少し大きめの声で。
そこまで聞いて、誠も気づいた。
見つからないなら、相手から来て貰えばいいのだと。
少し大きめな声を出した誠の首筋に、ナイフが当たる。
左手はナイフをしまいつつ、いった。
希の脳裏には、今のナイフの件を誤魔化す方法が書かれていく。
希は誠を慎重に左手の隣から自分の隣へ手繰り寄せる。
次の瞬間
左手の視界から二人の男女は消えた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!