俺には弟がいる
生まれつき心臓の病気で外に出たことがない
ずっと病室にいるからもしかしたら外に出たいとか思ってたりするかもしれない
だけど
俺は
そんな弟が大好きだった
ガラガラ
こんな事で押したらせんせーが困るから、押したくない
そして朝
フラッ
フラッ
バタン
ガクガク
グイッ
色々あってお昼
帰り
〈アナウンス〉緊急手術が入ります。直ちに準備してください
目が覚めたら
いつもの部屋
手術跡
最近目立つようになってきた
僕はカレンダーを見た
眠り姫じゃないんだから
無理しすぎたかな
その顔は今まででいちばん怖くて
真剣な表情だった
何となく怒られそうだから嘘をついた
一瞬僕がなんのために生きてるのか分からなくなった
家族に迷惑かける存在
あっ…
やっぱり…?
気づいたら僕は点滴を取って病院の外へ逃げていた
こんな使えない心臓はいらない
ちょっと走っただけで死にそうなぐらい苦しくなった
せんせーの言う通りだった
僕には自由なんかなかった
ただ一生病院の中で過ごすために生まれたのかな
初めて心臓にいつもと違う痛みを感じた
フラフラする
上手く歩けないのも、世間知らずなのも
こんな心臓だからだ
バタンッ
僕は人目につかないような所に倒れた
どうせ見つからないから明日には死ぬ
生まれ変わったら…元気で、友達が沢山出来るといいな……
病気なんてなってないといいな
そんなことを考えていたら日が暮れ始めた
息ができない…手術をしなかったから。
このまま死ぬ…
一方病院は
てるちゃんの部屋ってここじゃないっけ…?
いや、ここなはず
なんでここに点滴しか残ってないの?
ワンチャン、ベッドに潜ってるのかと思って見てみたら
点滴を無理やり取ったせいで血が恐ろしいほどベッドに付いていた
僕がさっき強く言いすぎたせいで…
てるちゃんの気持ちなんか考えてなかった…
そりゃ、初めて外に出たら嬉しいもんね…病気だからってずっとベッドにいさせたのが悪かった…
戻りたくなんかなかったよね
と思った時
僕はいそいでてるちゃんの口に手を当てた
確かに息はしてなかった
心拍計をつけても反応がなく、ピーーという音が病室に響いた
僕は焦った
すぐに心臓マッサージを始めてくれた病院の人に感謝しかない
心臓マッサージをしても心拍数が戻るのは少しだけで、意識が戻るということはそうそうない
心拍数が安定してきた…
そんなこと…
酸素マスクを被せられたてるちゃんはすぐに手術室に向かった
帰ってくることを信じて待ってるしかなかった
僕はそのあとも目が覚めるまでてるちゃんの横で待っていた
顔に土がついてて髪の毛に葉っぱがついてて
子供ってよく分からない
心拍計の音だけが響く病室に僕は座っているしかなく、とてもつまらなかった
こんな気持ちだったんだね
と言いたくなるような静けさ
今なら外がどれだけ楽しいかわかる気がする
返事をくれないって相当怒ってるのかな
照れてる?
なんで?
まぁ元気ならいっか
僕は病室を後にしようとした
一時期は諦めかけた人生だった
そんな僕でも生きた
だから、君達も、しっかり生きてね
桜が舞う頃
僕は静かに息を引き取った
悲しいって気持ちは全然ないと言うと嘘になるが
俺は笑顔になれない
なんか悪いんだよあいつに
苦しかったはずなのに、苦しい顔を見せなかったあいつを置いて
ニコニコと笑いたくない
風が吹いた
桜が舞っている
向こうの桜並木に笑う君の姿が見えた気がした
[あとがき]
お疲れ様です
思ったのですが
死ネタ多いですね
主の趣味?か分からないのですが
バッドエンドだけどハッピーエンドみたいなのが好きかも
ちゃんと描きます!
最後にアンケート
アンケート
𝖢𝖯(そっち系ではなくお話的に)
ばうてる
26%
しゆてる
16%
まひてる(てるまひ)
29%
そまてる
16%
ばうまひ
6%
しゆまひ
6%
投票数: 31票
アンケート
続き
そままひ
46%
その他
54%
投票数: 13票
ちなみにこのお話はしゆてる兼まひてるでした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!