今更泣いたってどうにもならないって、
分かってるのにね。
運転中の彼の横顔は俺にそう語っているようだった。
若さ故に
お互い過り、傷つけあった。
もう少し出会いが遅かったら
もう少し俺達は大人だったら
愛せたのかな。
それはわかんないまま。
割り切れないまま。
雨の中の駐車場、車がついに停車した。
彼は俺に告げる。
「俺は何も変わってないよ。」
まるで変わってしまったのは俺だと言いたいように。
「ここでさよなら、だね。」
嗚呼、恐れていたことが起こってしまった。
俺の日常が音を立てて壊れていく
崩壊していく
そんな前兆を感じた。
夜はもう深く、辺りはほとんど何も見えない。
本当はさよならは、
せめてさよならだけは俺から
言い捨ててやりたかったのに。
その願いは叶わないまま
彼の車は暗夜に紛れ込んで消えた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。