前の話
一覧へ
次の話

第3話

匂い袋
120
2025/08/03 06:01 更新
この村は九年前から戦で二度程壊された
あなた
父ちゃん今日は三郎が手伝ってくれたんだよ
父ちゃん
……
きっと私の話は聞いてくれているのだろう
戦で焼かれたこの村で母ちゃんは死んだ


それがショックで父ちゃんは気力を失っちゃった
村にはそれを乗り越えた奴と今でも戦っている奴が沢山いる
父ちゃんはご飯は昔よりは食べてくれるようになった


声を出すことはほとんど無いけれど私は生きてくれているだけでいいんだ
あなた
今日は西河さん家から魚を貰ったんだ
活きのいい魚でさ〜
私はそういいながら潰した魚と米を交互に父ちゃんの口に運ぶ
生きていれば腹が減る


そんなことは当たり前




私たちの生活は実際かなりカツカツだ
せめて父ちゃんが元気になってくれたら
そんな思い一心で生活を切り盛りしている
父ちゃん
もう、いぃ
そう言って父ちゃんは寝た
あなた
いつもより沢山食べたねぇ〜
私はそんな事を言っては父ちゃんが残した食べ物を食べる
私はきっと重度のお人好しなのだろう
周りの大人からは色々と言われた
「あの人はもう駄目だ」


「あなたの下の名前ちゃん、父親だからってもう面倒とか見なくてもいいんだよ」


「そうだ、そうだ
はやく結婚でもして自分の幸せを大切に、、、」
「このままじゃ、アンタも壊れちまうよ」









ピューーーーー
あなた
何の音?
私は食べ終わった食器を洗い体も拭きもう寝てしまおうとしていた
鳥?鳥にしては聞いたことが無い



鳥っと言うよりも笛に近いよね
こんな夜更けに
???
あなたの下の名前ッあなたの下の名前
あなた
えっ、三郎?
私は急いで家を出たら目の前に三郎がいた
あなた
どうしたの?
鉢屋三郎
コレを渡したくてな
あなた
えーっと
あなた
何これ?巾着?
こんな夜更けに三郎は小さな巾着を渡してきた
本当に小さな片手で収まってしまうような
鉢屋三郎
匂い袋だよ
あなた
匂い袋、、、












鉢屋三郎
お前は犬か!?
鉢屋三郎
もうちょっと匂い方あっただろ、
あなた
えへへぇ〜でもいい匂いだね
あなた
でもコレ高かったんじゃない??
鉢屋三郎
そんな事気にするな
三郎はいつもそうやって私の嬉しいことをしてくれる



それはとても嬉しいことだけど



私は彼に三郎に何かしてあげられているのかな、、、



いつも貰ってばっかで
私には返せるものが何も無い
鉢屋三郎
なぁあなたの下の名前
あなた
何?
鉢屋三郎
ちょっと散歩でもしないか?
鉢屋三郎
眠かったら全然いいんだけどさ
あなた
いいよ
こうやって少しでも三郎が望むことに応えたい
私は三郎に少し待ってもらい着替えて今は村の外れ
家もほとんど無い人気の少ないところを歩いている
三郎はいつもとはちょっと違ってめっちゃ話してる
勿論、話してくれるのはいい事なんだけど
その姿が少し幼く見えて可愛い









匂い袋の優しい香りが鼻を撫でる



















こんな生活がずっと続いたらいいのに、、、

プリ小説オーディオドラマ