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今日はいつもよりも憂鬱な日で、
いつもならこのままふらっと何処かへ行くけれど、今日はそんな気にもなれなかった。
何処かに行きたくて、何処にも行きたくなくて。
そんな気持ちで、いつも入らない様なこじんまりとした公園に入った。
木の下のベンチに座って、いつも通り煙草を吸って。
気付いたら大雨が降ってきていて。
やっぱり今日は憂鬱だ、なんて。
代わり映えのない毎日にうんざりして。
…そんな時。
不意に人の気配がして。
そっちを向けば明らかに困惑してる男が居た。
あー、これは警察に連絡されるな。
そう思った。
でも、これだけあからさまに嫌そうな態度を取れば相手も何処かに行くだろう。
だがそれは甘い考えだったのか、どんどんこっちに近付いてくる男。
まあ通報されないなら好都合。
このまま放っておけばいいだろう。
心の底から嫌そうな顔をするが、やはりそれはこの男には無意味だったようで。
そのまま私の隣に座ってきた。
抑揚の無い声でそう尋ねてきた。
見ず知らずの奴に言いたくないし、言う様な事でもない気がする。
…今は、誰も頼りたくない。
答えたくなかったから質問を質問で返した。
一瞬男は驚いた顔をしたがそのまま答えてくれた。
そう答えてから男はふわりと笑った。
一瞬気を許してしまいそうになって自分で自分を叱った。
当たり前でしょ、みたいな顔で見てくる男。
心底変な奴だと思った。
…いや、随分お人好しなんだと。そう感じた。
此奴なら少しだけ、心を許してもいいのかな、みたいな馬鹿な考えが浮かんできて。
大人なんて全員嫌な奴なのに、此奴なら…って思ってしまった。
そう思ったからなのか、自然と口は動いていた。
気付いたらそう言っていた。
目の前の男は困惑を極めていた。
まあ当たり前か、会って十数分の奴に突然名前を言われるんだから。
少し引かれたかな、なんて思っていたら、
突然笑い出した。
…やっぱ変なやつだよ此奴。
少し、びっくりした。
こっちが一方的に名前を言っただけで、この男…らっだぁ?まで言ってくれるとは思わなかった。
しかも多分何も考えず言ったんだと思う。
何処までも優しくて、暖かい奴だと思った。
そう少しキレ気味で言われて更に面白いなって思った。
見ず知らずの奴に此処まで優しくしてくれて、楽しそうに笑ってくれて。
何故か心を開いてしまったんだ。
「帰る」って言った時、少し寂しくなって。
それを感じ取ってくれたのか何故か傘を渡してくれて、次会う約束をしてくれた。
私の名前を呼んで、「またな」って。
それだけで嬉しくって、頬が緩みそうになって。
でもまだ寂しい気持ちは消えなくて。
だけど、間違いなく分かったのは、
あの人のおかげで、憂鬱な日が有意義な日とまではいかなくとも、
いつもの憂鬱な日がただの「雨の日」なったんだ。
___ねえ、また会えるかな_。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!