第7話

金を盗んで、二人で逃げて
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2023/03/03 15:11 更新
生きるためには食料が必要で。

食料を得るためには育てなくてはならなくて。

育てられないから買わなくてはならなくて。

買うためにはお金が必要、生きるためにはお金が必要。

だけど所詮、僕たちは学生。

金は雨のように降ってはこない。

使えば使うだけなくなるのは当たり前。



梅沢 時雨
ねぇ、透和。
梅沢 時雨
おなかすいたよ、私。
雨野 透和
これから死ぬのに?
梅沢 時雨
飢え死になんて嫌だよ。
梅沢 時雨
死ぬなら自分で死にたい
確かに、餓死は嫌だ。

だけどもう、金は底をついている。

......。

ふと、民家が目に入る。

田んぼ道にぽつんと立つ一つの家。
雨野 透和
時雨
梅沢 時雨
ん......。何?
雨野 透和
あそこ、入る?
少しためらいながら僕が言うと、少し悪い笑みを浮かべた時雨。
梅沢 時雨
どうせ死ぬし、いいよね
梅沢 時雨
もう、人殺してるし。
雨野 透和
もう、狂ってるからね
雨野 透和
取り返しつかないし、もういいか。
運がいいのか悪いのか。

家の中には人ひとりいなかった。

少しの金を持ち出して、走る、走る、走る。

思いっきり笑う。

走った先の草原で、思いっきり笑い転げる。



梅沢 時雨
ここまでしたら、もう怖いものないね
雨野 透和
どうせ死ぬんだ、何も怖くない。

草原の中に廃止された線路が埋まっていた。

線路の上、二人で縛られずに歩く

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