なんでこんなことになったんだ……。
数分前。ただ雑談をしていただけなのに、最近恋愛話にハマったらしいゆうに好きな人の話題を振られてしまった。
いやまぁ、教えてもいいんだけどね別に…!
ただ、中高時代一度も恋愛をしてこなかった私にとってそういう話題は本当に慣れてない。だって何話していいかわかんないし…。
ヒント、ってつまり伏見くんの好きなところを言えばいいっていうことだよね……いやそんなんいっぱいあるけどこれが1番恥ずくない?!
思わず大声で否定する。
いや伏見くんは顔だけじゃないし!性格もめちゃめちゃ優しいから!!
他、かぁ。なんかバレなさそうなのないかなぁ。
伏見くんの好きなところを全部言えと言われたら、多分1時間はかかる。それくらい好きなんだ、あの人のことが。
急に身を乗り出してきたゆうにびっくりする。
え、そんなに変なことなのかな…?でも確かにあまりにも恋とは無縁な学校生活だったから、感覚がおかしくなってるのかもしれない。
今度は私がニヤニヤしながらゆうの顔を覗き込む。
ゆうは運動も勉強も出来るタイプだし、絶対モテてたと思うんだけどなぁ。
あれ、なんか反応微妙だった…?もしかして触れられたくない話題だったのかな、?
一瞬曇ったゆうの顔が頭に残る。この空気の中なんて言えばいいのか分からなくて、咄嗟に口が開いた。
ぃ、言っちゃったぁぁ……!!!泣
この場の空気をどうにかしようと、つい名前まで言ってしまった。
ま、まぁ伏見くんのこと知らないかもしれないし!名前言ったところでどうにもなんないし!!大丈夫大丈夫、落ち着け…!!
なんだ、この微妙に気まずい空気は。何の緊張なのか、心臓がやけにうるさい。
あの絶妙な反応。無理に作られた笑顔…
……これはまさか。