第36話

 XXXV
413
2024/12/26 05:00 更新











 




 外食を終えた帰り道_____









あなた
 治、あれはなんじゃ!? 
あなた
 あっちもこっちも木が光っておるぞ! 






太宰治
 あー…あれは 
太宰治
 イルミネーションだよ 





あなた
 いるみ、ねしょん? 






太宰治
 この時期になると大通りの木は光るの 
太宰治
 そんなに珍しいものでは…   





 …って、もうそばに居ないし







あなた
 ねしょん!ねしょん!綺麗じゃ! 








 木の下でぴょこぴょこ跳ねながら

 嬉しそうに イルミネーションを見るあなた

 その側を 一組の親子が通過する








男の子
 父ちゃん僕疲れちゃった 
男の子
 おんぶして 





父親
 仕方ないなぁ 
父親
 ほら 







 子どもは父親の背中に乗ると

 嬉しそうに 光に手を伸ばし はしゃいでいる








あなた
 …   







太宰治
 こんなところにいた 
太宰治
 人が多いのだから
 1人で先に行くと迷子になるよ 






あなた
 治、妾もあれをしたいぞ 








 先ほどの親子を指差し

 太宰のコートの裾をぎゅっと握る







太宰治
 おんぶ? 
太宰治
 あれは 子どもが
 してもらうものであって 
太宰治
 大人はしないのだよ 
太宰治
 君はいつも自分は子どもじゃないと 
 主張しているじゃあないか






あなた
 そう、なのか…   





 あなたは 少し悲しそうに

 親子が見えなくなるまで見つめていた






太宰治
 …    
太宰治
 はぁ…全く 
太宰治
 ほら 





 



 そんな あなたの前に 太宰がしゃがみ込む







あなた
 …妾は子どもではない 






太宰治
 これはおんぶじゃなくて 
 馬だと思えばいい
太宰治
 馬なら大人も乗るだろ? 






あなた
 しかし、 







太宰治
 馬は昔から高貴な人が乗る乗り物だ 
太宰治
 プライドの高い君に
 ぴったりだと思うけど? 






あなた
 ! 
あなた
 うぬ、そうじゃな 
あなた
 妾は 上級の吸血鬼じゃからな 










 あなたが嬉しそうに背中に飛びつくと

 太宰は 落ちないように支えながら立ち上がる






あなた
 おお!高いのう 
あなた
 光に届きそうじゃ! 






太宰治
 あんまり暴れると落ちるよ 
太宰治
 上級吸血鬼が
 落馬なんて格好悪いだろ 




あなた
 分かっておる 






あなた
 妾はあの親子に追いつきたい! 
あなた
 だから治、早う走れ 
あなた
 馬ならもっと早う走らぬか 






太宰治
 君ねえ 






 あなたと太宰のはしゃぐ声が

 イルミネーションの光と共に

 冬の冷たい空へと消えていった






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