第27話

12月
13
2024/06/08 01:58
「もう12月!?冬じゃん~」
「一年早すぎ」

「相川君おはよう」
「檜山、おはよう。」

あれから何ヵ月かたって、俺らは一年の冬を迎えた。冬を過ぎて春が来れば、もう二年だ

そろそろ進路を考えとく時期に入るだろうか、俺は大学に行くか、そのまま就職するか
決まっていない…

(将来の夢があれば楽なんだけどな…)

「ねぇ、知ってた?榎本先生って一年契約らしいよ」
「え?どういうこと?」

「一年、二年って上がらないで、一年だけを持つって感じらしくて、二年生になったら次の一年生の担任を持つから、私達の担任にはならないんだって」

「ええ!?悲しい」

(は…?)

俺は凄く混乱していた。二年も持つかと思っていたから、尚更心にダメージがきた

「だから、去年は今の二年生の担任してたけど、そのまま上がらなかったんだね」


「なにそれ…意味わかんねぇよ、」
「相川君、」

「榎本先生と離れたくない~」
「例え先生と、一緒になってもクラス分けとか心配だよ」


ガラガラと教室の扉が開いた。

「SHRを始めるぞ、席に着け~」
「は~い」

(そんなの聞いてねぇよ…)

「もう少ししたら、冬休みだね。怪我とかしないように。」


話し終えて、休み時間になった。職員室に行こうとした慧の腕を引っ張り、そう言った

「おい、待てよ、」
「凛、どうした?」
「一年契約って…どういうこと、」

「…誰かから聞いたの?」
「聞いた、」

「俺と離れんの寂しいか」

そういい、慧はケラケラと俺を馬鹿にするように笑った。

「寂しい。当たり前だろ寂しいに決まってる」
「ん…」

慧は、驚いたような顔をしていた。俺は、恥ずかしくなり、そっと手を離した

「一年契約は、自分で決めたんだ。辞めるのも自分で決めれる。」
「なんで一年契約なんか…」

「ある人を待ってたんだよ。一年生で入学してきたら、必ず担任になりたかった」

(待ち人がいるんだ…)

そう思い、俺は顔を下げてしまった。

「誰なの…その待ってる人」
「…はっ、」
「何がおかしい…」

顔を上げてそう言おうとした時、慧と目があった

「待ってる人、それはお前だよ。」

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