「もう12月!?冬じゃん~」
「一年早すぎ」
「相川君おはよう」
「檜山、おはよう。」
あれから何ヵ月かたって、俺らは一年の冬を迎えた。冬を過ぎて春が来れば、もう二年だ
そろそろ進路を考えとく時期に入るだろうか、俺は大学に行くか、そのまま就職するか
決まっていない…
(将来の夢があれば楽なんだけどな…)
「ねぇ、知ってた?榎本先生って一年契約らしいよ」
「え?どういうこと?」
「一年、二年って上がらないで、一年だけを持つって感じらしくて、二年生になったら次の一年生の担任を持つから、私達の担任にはならないんだって」
「ええ!?悲しい」
(は…?)
俺は凄く混乱していた。二年も持つかと思っていたから、尚更心にダメージがきた
「だから、去年は今の二年生の担任してたけど、そのまま上がらなかったんだね」
「なにそれ…意味わかんねぇよ、」
「相川君、」
「榎本先生と離れたくない~」
「例え先生と、一緒になってもクラス分けとか心配だよ」
ガラガラと教室の扉が開いた。
「SHRを始めるぞ、席に着け~」
「は~い」
(そんなの聞いてねぇよ…)
「もう少ししたら、冬休みだね。怪我とかしないように。」
話し終えて、休み時間になった。職員室に行こうとした慧の腕を引っ張り、そう言った
「おい、待てよ、」
「凛、どうした?」
「一年契約って…どういうこと、」
「…誰かから聞いたの?」
「聞いた、」
「俺と離れんの寂しいか」
そういい、慧はケラケラと俺を馬鹿にするように笑った。
「寂しい。当たり前だろ寂しいに決まってる」
「ん…」
慧は、驚いたような顔をしていた。俺は、恥ずかしくなり、そっと手を離した
「一年契約は、自分で決めたんだ。辞めるのも自分で決めれる。」
「なんで一年契約なんか…」
「ある人を待ってたんだよ。一年生で入学してきたら、必ず担任になりたかった」
(待ち人がいるんだ…)
そう思い、俺は顔を下げてしまった。
「誰なの…その待ってる人」
「…はっ、」
「何がおかしい…」
顔を上げてそう言おうとした時、慧と目があった
「待ってる人、それはお前だよ。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。