「夏休み終わったけど、切り替えてけよ~」
「は~い」
夏休み終わり、必ず先生たちはこういうだろう。でも、俺らの担任は全然違った。
「榎本先生しっかりしてください!」
「やる気でない…自習じゃだめ?」
「ダメですよ!生徒がどっちか分からないです」
「だって~…」
「相川君何か言ってあげて…春井先生が可哀想に見えてきた」
「…慧」
「うん…?」
「今日頑張ったらよしよししてやるよ、!」
(すげぇ子供に言う、台詞みたいな事言ってしまった…)
「…わかった、約束な」
「ぇ」
「してくれるんだろ?」
「お、おう、!」
「ナイス相川君!」
(よくわからないけど、解決できて良かった…)
「学級委員と何人か、図書館行って資料とってきてくれ」
「榎本っちが取りに行かないの?」
「俺は一寝入り。やる気が出ない」
そう言って、慧は目を閉じてしまった。
「凛君行こうか。」
「おう…」
「相川君、三谷さん俺も手伝うよ」
「本当!?助かる~!」
「檜山…お前良い奴だな」
「そうかな笑」
檜山はそう言われ、クスッと笑っていた。
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「あれ~、資料どこだっけ…」
「俺こっち探すから、相川君あっち探してくれるかな」
「おう。」
俺が頼まれた場所は、古くさい場所だった。
掃除されていないのか、ほこりが沢山出ていた
(きたねぇ…ん?)
俺が目を通したのは
【 ××高校 3年2組 名簿男子 】
と書かれた、古くさい本のような物だった。
「ここの学校の名前…昔の生徒の名簿か…?」
少しだけ捲ってみたら、見覚えのある名前が見つかった。
【 ××高校 3年2組 2番 榎本慧 】
「慧…?母校だったのか」
顔写真に目が行った。髪型は短髪で頬には絆創膏が貼ってあり、まさにやんちゃ坊って感じの人だった。
【 ○○になってそう!ランキング 】
と言うモノが、最後のページに乗っていて少し眺めてみることに。
「教師になってそう…1位 榎本慧」
俺は、フフッと笑った。
「まじでなってんじゃん、すげぇな」
「…?」
ふと、隣を見たら一枚の紙を見つけた。
写真部が作った新聞だろうか、一人の名前がでかでかと乗っていた。
「陸上部一番選手 榎本慧!ぜひ全国1位を目指してほしい…?」
「んだよこれ…プレッシャーでしかないじゃん…」
「こら、凛君~!!」
「うわ、!?」
「何みてんの!資料見つけたの?」
「…」
「凛君…」
「ごめんって、!!」
俺が棚に手をおいた時だった、
クシャッと紙の音が聞こえた。
「あ、資料だ」
「あった~!!」
三谷は、剥ぎ取るように、プリントをとって走っていった
「騒がしい奴だな…」
「それが三谷さんの良いところなのかもね」
「相川君、俺たちも行こうか」
「おう。」
俺は、新聞を手に取りポッケに隠した。
クシャっと紙の音が聞こえたけど、気にしなかった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。