夜の街。
あなたは単独でのパトロール中、逃げる窃盗犯を追い詰めて拘束していた。
「ふぅ……よし、確保完了っと!」
手早く拘束テープで縛り上げるあなた。そこに、ふっと風を切る音とともに影が降り立つ。
「いやぁ、相変わらず動きが軽いね。ちっちゃい頃から見てるけどさ、育ったねぇ」
赤い翼を広げ、軽口を叩くホークスが立っていた。
「ホークスさん!?なんでここに?」
「たまたまパトロールルートがかぶっただけ。……いや、正確には狙って来たんだけどさ」
「え?」
ホークスは犯人をちらっと見て、すぐヒーロー課の到着を待つ間、あなたの隣に軽く腰を下ろす。
「君さ、もう今の事務所で学べることは、だいたい終わってるんじゃない?」
「……そんなこと……」
「いや、俺が見れば分かる。即応力も冷静さも、一人で現場回せるレベルだ。……だけどさ、君の力はもっと広い世界で羽ばたける」
あなたは言葉を失う。
ホークスの目は、いつもの飄々とした雰囲気とは違い、真っ直ぐで鋭かった。
「俺の事務所に来ない? サイドキックとして」
「っ……!」
突然の勧誘に、あなたの胸は大きく跳ねた。
ホークスの下で働くということは、日本でトップクラスの環境に身を置くということ。
そして、憧れの背中をずっと近くで見られるということでもあった。
「……そんな、大きなこと、私が……」
「自信ない?」ホークスはニヤリと笑った。「大丈夫。俺が保証する」
その一言が、不思議と胸に響いて、心が揺さぶられる。
「……考えさせてください」
「もちろん。すぐ答えろなんて言わないよ。でもね、俺の直感ってけっこう当たるんだ。君が来てくれるってさ」
羽をひらりと舞わせて、ホークスは夜空へ飛び去った。
狐白はその背中を見上げ、胸の奥が熱くなるのを感じていた。
夜の街。
ホークスが飛び去った後も、狐白はしばらくその場に立ち尽くしていた。
胸の奥がざわざわして、落ち着かない。
(ホークスさんの事務所……サイドキック……私なんかが……)
そのとき、ふと頭に浮かんだのは、かつての担任の顔だった。
彼なら、どう答えるだろうか。
あなたはポケットからスマホを取り出し、登録された「相澤消太」の名前をタップする。
卒業後、先生の言った言葉を思い出す。
「何かあったら相談しろ」
割と早く使うことになってしまった。
コール音が数回鳴り、やがて、眠たげな声が聞こえてきた。
『……こんな時間に電話とは、何かあったか』
「……先生。あの、少し相談したいことがあって」
あなたの声は、思ったよりも震えていた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。